久保建英はソシエダ現体制の命運がかかるセルタ戦に出場できるか 決戦の地ビーゴを歩く
10月の代表戦ウィークが明けてラ・リーガが再開する。
日本代表の久保建英が所属するレアル・ソシエダには19日(現地時間)、第9節のアウェーでのセルタ・デ・ビーゴ戦が待っている。
飛行機が街から15キロメートルほど離れたところに位置するビーゴ空港に近づくと、緑鮮やかに自然豊かな景色が窓に広がる。
イベリア半島の北西に位置し、南端をポルトガル国境と隣接するガリシア州の都市ビーゴへは、何度か撮影で訪れたことがある。
サッカーのある週末、起伏が激しい石畳の市内を歩くと、子どもたちが路上でボールを蹴り合っていた。ワイン片手に夜のセルタ戦談義に花を咲かせる大人たちの目は、優しく子どもたちを追いかける。
セルタの試合前のビーゴ中心部の風景photo by Nakashima Daisuke 旧市街をさらに進むと、香ばしい炭火の匂いが漂ってくる。近海で取れた新鮮な魚を炭火焼きで美味しく食べることができるのだ。
街の一番の特徴は、大西洋に面したリアス式海岸が作り出す複雑な海岸沿いの大きな漁港だ。イワシやアジなどメジャーどころの魚種に加え、ザンブリーニャと呼ばれる小さな帆立のような貝など、貝類も豊富に獲れる。日本でも有名なガリシア風タコ、牡蠣やマテ貝、カニなどなど際限がない。
海鮮だけでなく、ルビア・ガジェガと呼ばれる土着牛のステーキも外せない。あえて経産牛が選ばれ、長期熟成したのちに食べられる。
食が自慢のスペインのなかでも"おいしい"美食の地域なのである。
ガリシアの食レポートだけでも話題が尽きないのだが、ホテルなども多い街の中心からセルタのホームスタジアムであるバライードス(エスタディオ・デ・バライードス)までは、徒歩では1時間弱ほどかかる。上り下りもあるため、市バスで移動するのが一般的。前後の移動なども含めると40分ほどかかり、やや交通の便の悪さを感じてしまう。
現在、改修工事が続けられているスタジアムの外観は、銀色にテカテカしていてちょっと好みではないけれど、客席とピッチの間隔はかなり近く、ファンの熱気を直に感じられるすばらしいスタジアムだ。
昨季7位でヨーロッパリーグ出場権を獲得したセルタだが、ここまでリーグ戦は0勝6分2敗の16位(第8節終了時点)と、勝ちきれないでいる。
一方のソシエダも、1勝2分5敗と降格圏の19位(同)に沈み、いつセルヒオ・フランシスコ監督の進退問題に発展してもおかしくない状況にある。
久保は直近の日本代表対ブラジル代表戦で後半54分までプレーしているが、左足首の状態は現地スペインでもあやぶまれている。日本からの長距離移動の影響も少なからずあるはずで、選手起用も大事なポイントになりそうだ。
とはいえ、敵地での勝利のためには、久保の活躍が必須だ。
次ページの写真は2023年8月に行なわれたセルタ戦でアンデル・バレネチェアの先制ゴールをアシストしたときのもの。このシーズン、レアル・ソシエダはチャンピオンズリーグでベスト16に進出しながらラ・リーガの最終成績も6位。久保は開幕から2戦連続でMVPに選ばれるなど、その好成績に大きく貢献した。
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著者プロフィール
中島大介 (なかしま・だいすけ)
1979年生まれ。2006年よりバルセロナ在住。サッカーを中心にヨーロッパ各地で様々なスポーツの撮影、スポーツ選手インタビュー、ポートレートの撮影など。AIPS(国際スポーツプレス協会)会員。バルセロナでカフェも経営。

