サッカー日本代表が来年のワールドカップでドイツと対戦したら? 3度つけ入るスキはあるのか (2ページ目)
【1トップに弱点も】
しかし、かつての威光を失ったとは言え、ドイツサッカーそのものは輝きを失っていない。バイエルン、レバークーゼン、ドルトムントは現在も欧州では常に覇権を争っている。フランクフルトも、鎌田在籍時にヨーロッパリーグで戴冠した。
リバプール入りが噂されるドイツ期待の星、フロリアン・ヴィルツ photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る レバークーゼンでシャビ・アロンソ監督の薫陶を受けたフロリアン・ヴィルツは、今や世界有数のファンタジスタと言える。変幻自在のテクニック+戦術センスは出色で、ラインを行き来する感覚は天才的。ネーションズリーグ準決勝ポルトガル戦でも、ヨシュア・キミッヒ(バイエルン)とのパス交換からヘディングで先制点を決めていた。
現代表では、ヴィルツ、ジャマル・ムシアラ、レロイ・ザネ(ともにバイエルン)が融合した攻撃力は欧州でも屈指と言える。キミッヒのキャプテンシーも特記に値する。アントニオ・リュディガー(レアル・マドリード)、レオン・ゴレツカ、アレクサンダル・パブロビッチ(ともにバイエルン)など、インテンシティで圧倒できる選手も多く擁する。
ドイツを率いるユリアン・ナーゲルスマン監督は戦術家としての誉れが高く、3バック、4バックを使い分ける。試合ごとに編成を変えられるし、試合途中でも変更可能。ポルトガル戦も3バックでスタートしたが、後半途中から4バックに変えていた。技巧的なチームになって、押し込む時間も長く、その柔軟さは持ち味だ。
だが、かつての勝負強さは失われた。
「ゲルマン魂」――そう畏怖された時代のドイツには、前線に怖さのあるストライカーがいた。劣勢でもしぶとく耐えしのぎ、一転して相手を仕留めるたくましさがあった。ゲルト・ミュラー、ユルゲン・クリンスマン、ルディ・フェラー、ミロスラフ・クローゼなどが世界制覇をもたらした。
ポルトガル戦の1トップにはニック・ヴォルテマーデ(シュツットガルト)が代表デビューし、出来は悪くなかった。しかし、決定打がない。準々決勝のイタリア戦もヨナタン・ブルカルト(マインツ)、ティム・クラインディーンスト(ボルシアMG)と試合ごとにトップは入れ替わっており、"帯に短し、たすきに長し"。0トップはひとつの解決策だが、代表チームはクラブチームほど戦術的に仕上げられず、ひとりのゴールゲッターがいることが単純に戦術の土台になるのだ。
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