サッカー日本代表が最も苦手そうな国 来年のワールドカップ優勝候補フランスに立ち向かう方法はあるのか
いま日本が欧州最強国と戦えば(4)~フランス
ワールドカップでの最高位はベスト16の日本が目標を「優勝」に設定した。そこで世界の「ワールドカップ優勝候補」の現在地を比較検証しながら、森保ジャパンの"今"を探った。
第4回は、2018年ロシアワールドカップ優勝、2022年カタールワールドカップ準優勝と世界を席巻するフランスだ。
ディディエ・デシャン監督が率いるフランスは、2大会連続でワールドカップのファイナリストになっている。
前線のふたり、キリアン・エムバペ、ウスマン・デンベレは説明不要のスーパースターである。エムバペはレアル・マドリード1年目でラ・リーガ得点王に輝き、デンベレはパリ・サンジェルマンのリーグアン、チャンピオンズリーグ(CL)優勝の原動力になった。ドリブルひとつをとってもタイプは違うが、ともに1対1ではほとんど止められず、とにかく超人的である。
ブラッドレー・バルコラ、デジレ・ドゥエ(ともにパリ・サンジェルマン)、ミカエル・オリーセ(バイエルン)という若手アタッカー3人も、実力は追随する。すでにアントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)は代表を引退しているが、アタッカー陣は次の時代も安泰といったところか。欧州屈指のストライカーに成長したインテルのマルクス・テュラムの定位置がないほどである。
ネーションズリーグを戦っているキリアン・エムバペとデジレ・ドゥエ photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIAこの記事に関連する写真を見る 中盤は、伝統的にフィジカルに優れた選手が多い。オーレリアン・チュアメニ、エドゥアルド・カマヴィンガ(ともにレアル・マドリード)やマヌ・コネ(ローマ)は、高い防御力を誇る。一方で、アドリアン・ラビオ(マルセイユ)やウォーレン・ザイール・エメリ(パリ・サンジェルマン)のように"テンポを変えられる"プレーメイカーも擁する。
バックラインでは、イブラヒマ・コナテ(リバプール)、ダヨ・ウパメカーノ(バイエルン)がそれぞれプレミアリーグ、ブンデスリーガの優勝チームの守備を支えた。ウィリアン・サリバもアーセナルですばらしいシーズンを過ごしている。右サイドバックのジュル・クンデはバルセロナで攻撃センスが光り、アウトサイド、インサイド、攻撃に厚みを与える。左サイドバックのテオ・エルナンデス(ミラン)の攻撃参加も出色だ。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。