久保建英だけではない高評価の日本人サイドアタッカー スペインで活躍が期待されるのは?
リーガ移籍候補を探る(2)~サイドアタッカー、セカンドアタッカー編
スペイン、ラ・リーガで久保建英(レアル・ソシエダ)が築いた道を、日本人選手は辿ることができるのか。その可能性を考察する第2回はサイドアタッカー、セカンドアタッカー編だ。
過去、1部で成功した日本人選手は乾貴士(清水エスパルス)と久保だけだ。ふたりは利き足が違うし、プレーテンポも異なるが、同じようなサイドアタッカー、セカンドアタッカーという共通点がある。やはり、このポジションは日本人の優位性があると言えるだろう。
「俊敏でテクニカル」
それは欧州各国リーグで活躍する日本人サイドアタッカーに対する印象で、高い評価が与えられている。
小柄であっても、サイドでは大きなハンデにならない。世界最高の輝きを放ったリオネル・メッシは最たる例だろう。素早さを用い、相手の裏を取る技量があれば、ラ・リーガでも通用する。
率直に言って、日本人はこのポジションが最も人材に恵まれている。サイドから崩し、ゴールに迫る。日本代表の三笘薫(ブライトン)、堂安律(フライブルク)、中村敬斗、伊東純也(スタッド・ランス)などは、間違いなくラ・リーガで通用する人材だ。
なかでも三笘は世界最高峰のプレミアリーグでプレーしているだけに、能力は間違いない。プレースタイルはラ・リーガよりもプレミア向きだろうが、個人で爆発的な突破ができる力は、どのチームでも求められる。世界トップレベルのサイドアタッカーだ。
ただ、三笘がラ・リーガに新天地を求めるとすれば、レアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリードのようなチームになる。現実的には、プレミアの強豪クラブへの移籍を選ぶだろう。
堂安は左利きでパワーがあるし、中村はとにかく得点感覚に優れ、伊東はサイドでクラシックなウィングとしてインテンシティを出せる。3人とも、ラ・リーガの中堅クラブのサイドアタッカーと比べても遜色ない。
しかし、現時点では3人とも苦労するだろう。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。