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久保建英だけではない高評価の日本人サイドアタッカー スペインで活躍が期待されるのは? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【「うまい」だけでは十分ではない】

 ラ・リーガは駆け引きの連続で、タフさが求められる。サイドはマッチアップが多く、相手ディフェンダーはファウルにならないルールギリギリに削ってくる。それに動揺せず、最大限の出力を続けるのは簡単ではない。確かに堂安のいるドイツもハードだし、中村、伊東のフランスもパワフルだが、スペインはしつこく、粘り強く、より老獪に守ってくるのだ。

 その点、久保はパーソナリティに胆力を感じさせる。相手の挑発にも決して負けないし、熱くなっても我を失うこともほとんどない。メッシもそうだったが、むしろ怒ることでスイッチが入り、プレーの切れが増す。漫画のヒーローのようなところがある。

 10代の頃から、久保は剛胆だった。FC東京で、周囲のほとんど全員が年上でも、物怖じするそぶりも見せなかったという。自分のリズムを守ることができた。そのメンタリティこそ、スペインで生き抜く条件かもしれない。

 セカンドアタッカーにも、同じことが当てはまる。技術だけではない、生き抜く力と言えばいいだろうか。

レアル・ソシエダが食指を動かしていた鎌田大地(クリスタル・パレス) photo by Rex/AFLOレアル・ソシエダが食指を動かしていた鎌田大地(クリスタル・パレス) photo by Rex/AFLOこの記事に関連する写真を見る かつて家長昭博(川崎フロンターレ)はマジョルカでスペイン挑戦し、ミカエル・ラウドルップ監督からは信頼を得て、1年目のシーズン半分は好調だった。Jリーグ史上最高のテクニシャンの面目躍如だったが、次のシーズン、監督交代後は不遇の扱いを受け、結局、早々と撤退を余儀なくされている。

「メッシは化け物ですが、日本では知られていない選手でも、技術も体力も気が抜けないほどレベルは高い」

 当時、家長はそう洩らしていたが、それが実状である。

「スペインに行く前は、"(中村)俊輔さんみたいな人でも苦しみ抜いたスペインってどんなもんや"とビビっていました。実際、競争も激しくて。マジョルカに入って、すぐはパスが回ってきませんでした。そこは慣れで、いい動きをしてパスを引き出したりすると、周りは認めてくれるんですけどね。その積み重ねです」

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