中井卓大は正念場...守田英正ら日本人MFがスペインで活躍するためには何が必要か
リーガ移籍候補を探る(3)~ボランチ編
スペインのラ・リーガで活躍できる日本人選手をポジションごとに探ってきた。今回はボランチ編だ。
人材がいないわけではい。
スペイン人関係者のなかでも、かつての日本代表MF長谷部誠はとても評価が高かった。ブンデスリーガ、フランクフルトでは抜群のユーティリティ性を発揮。突出したインテリジェンスで、いるべき場所、いてはいけない場所を見抜き、常に味方にアドバンテージを与えるポジショニングで、チーム全体を好転させることができた。基本的スキルも高かった。
スペインでは、こうしたチームを動かすようなMFが評価される。
同時に、そのタイプのMFの宝庫でもある。
現在のスペイン代表だけでも、ロドリ(アトレティコ・マドリード→マンチェスター・シティ)、マルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ)、マルク・カサド(バルセロナ)、コケ、パブロ・バリオス(アトレティコ・マドリード)、そしてセルヒオ・ブスケッツの再来、マルク・ベルナル(バルセロナ)と、次々にハイレベルな選手を輩出している。他にも、バルサのトップでは弾かれたオリオル・ロメウ(ジローナ)、イライシュ・モリバ(セルタ)、レアル・マドリードのトップから外れたダニ・パレホ(ビジャレアル)、アントニオ・ブランコ(アラベス)と才能豊かなMFがごろごろいるのだ。
はたして、日本人MFはそこに割って入れるのか?
出鼻を挫くようだが、難易度はかなり高い。
かつて、ハリルジャパンで新鋭の代表MFだった井手口陽介(ヴィッセル神戸)が2部クルトゥラル・レオネサに在籍していたが、わずか5試合出場、先発は1試合に終わった。そこで「使い物にならない」と早々に見切りをつけられてしまった。彼のように猛烈にボールにアタックする選手は、下部リーグにはありあまるほどいる。日本で言う「力強さ」はアドバンテージにならないのだ。
一方、森保ジャパンでも定位置をつかんだことのある橋本拳人は2部ウエスカで2シーズン、ポジションをつかみ取っている。堅実な守備やダイナミックな攻撃は高い評価を受け、その成果で1部昇格を狙うエイバルにステップアップした。しかし戦力レベルが一段上がったところ、なかなかレギュラーをつかめないまま、結局、古巣のFC東京に戻る決断をした。
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著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。