注目のCL決勝の展開を林陵平が予想 レアル・マドリードがボールを握りドルトムントはカウンター狙い (2ページ目)

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【ヴィニシウスとクロースを抑えられるのか】

 ゲームの立ち上がりのところで、レアル・マドリード側のポイントとして僕が気になっているのは、ヴィニシウスをどこに置くのかということ。

 バイエルンとの準決勝2ndレグでは、前半は結構中でプレーさせました。しかし、後半は立ち位置を左にしたことで、流れがすごく変わった。今、彼を止められる選手はなかなかいなくて、ヴィニシウスが左から縦の速さで抜いていけるとチャンスができます。彼をどこに配置するのかは、すごく大事ですね。

 ヴィニシウスは細かいボールタッチで積極的に仕掛けて、相手の重心の逆を突くことができます。さらに、彼がすごくなったのは、カットインした時のフィニッシュです。ここの決定力が凄まじく上がっている。やはりドリブルだけとか、パスだけとかじゃなくて、ドリブルもパスもシュートもできて、ゴールを決められる選手。それが価値を上げています。

 レアル・マドリードは、解説する時には常に言っているんですが、「形のないことがスタイル」。「レアル・マドリードにしかできないのでは?」というくらい、各選手のポジションがぐちゃぐちゃのように見えて、すごく整っているのが強みです。

 ドルトムントはリエルソンが準決勝のパリ・サンジェルマン戦で結構1対1でキリアン・アムバペを抑えていましたが、レアル・マドリードはヴィニシウスが左サイドに流れた時に、ここにロドリゴだったり、ベリンガムが寄ってきたりして、局地的にどんどん数的優位をつくるわけです。

 そうなった時にドルトムント側は対応できるのか。そこもすごく気になるポイントです。

 あと、レアル・マドリードは、やっぱりトニ・クロースですね。ゲームをコントロールできる選手です。ドルトムントがレアル・マドリードにボールを持たせたとすると、それはやはりボールホルダーにプレッシャーがかからないことになります。

 クロースはCBの左横に降りてボールを持つケースが多いです。その時左SBのフェルラン・メンディが高い位置に行って、ヴィニシウスとの関係で数的優位を作りやすい。クロースはその位置からどんどんいいボールを出しますし、右サイドへの一発のサイドチェンジもあります。

 そうなると、ドルトムントとしては4-1-4-1の状態から、インサイドハーフのザビッツァーやブラントが出ていって、ボールの出しどころであるクロースを抑えないと結構苦しくなると思います。

 逆にドルトムントは、ボールを奪ったあとにどれだけアデイェミ、サンチョ、フュルクルクのところに収めて、ブラントやザビッツァーも前に飛び出していけるか。攻撃面ではやはりカウンターがポイントになりそうですね。

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