注目のCL決勝の展開を林陵平が予想 レアル・マドリードがボールを握りドルトムントはカウンター狙い (3ページ目)

  • text by Sportiva

【ドルトムントはカウンターやセットプレーに勝機】

 近年のレアル・マドリードは「形がないのがスタイル」という話をしましたが、これは各選手の個人戦術、戦術眼によるところが大きいと思います。

 クロースのゲームコントロールもそうですし、彼がCB横に降りた時にメンディーが高い位置を取り、状況に応じてベリンガムも顔を出したりとか、ここのあたりは本当に一人ひとりの能力です。状況に応じてプレーを変えられる選手が11人揃っていて、もちろんアンチェロッティ監督の戦術の枠組みはありますが、そのなかでの調整というのは結構自分たちでやっていると思います。

 あとレアル・マドリードの注目は、交代で入ってくる選手ですよね。前線ではホセルやブラヒム・ディアス、中盤にはルカ・モドリッチもいます。若い選手たちとベテランがすごくマッチしている感じもいいですし、とにかく強いです。

 ただ、ドルトムントも、相性という意味ではレアル・マドリードは結構やりたいことができる相手だと思うんです。だから、守備がどれだけハマるかが、いちばん大事かなと思います。ドルトムントは、一人ひとりサボらずにプレーするのが守備の強さに出ています。アデイェミやサンチョでさえ、しっかり守備に戻る。

 そうしたなかで、セットプレーにもチャンスがあると思います。準決勝ではフンメルスが決めていましたね。セットプレーは試合の流れに関係なく決められるところもあるので、特に決勝などの一発勝負ではカギを握ります。

 だからこそ、ドルトムントはミドルブロック、ローブロックの守備でどれだけ耐えてカウンターに出られるかというところが、やはりすごく大事な部分です。

 現代のフットボールにおいて、強いチームというのは、90分間の攻守4局面でいろんな戦い方ができます。

 相手があるスポーツなので、自分たちが「ボールを保持できる時」もあるし、「持てない時」もある。それなら持てない時にどういう風に振る舞えるか、持っている時にどういう攻撃ができるか。あるいは「守備から攻撃」「攻撃から守備」という切り替えの部分。ここのトランジションでどんな戦い方ができるのか。そこが整理されているチームは、やはりすごく強いですよね。

 そうした戦い方ができる両チームのCL決勝は、本当に楽しみです。

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プロフィール

  • 林 陵平

    林 陵平 (はやし・りょうへい)

    1986年9月8日生まれ。東京都八王子市出身。ジュニアからユースまで、東京ヴェルディの育成組織でプレーし、明治大学を経て2009年に東京ヴェルディ入り。レフティの大型FWとして活躍した。10年に柏レイソルに移籍し、11年にJ1優勝を経験。その後、モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、再び東京Ⅴ、FC町田ゼルビア、ザスパクサツ群馬でプレーし、20年に現役を引退。Jリーグ通算300試合出場67得点。現役時代から海外サッカー通として知られ、メディア出演多数。現在はプレミアリーグからJリーグまで幅広く解説を務め、トップランナーとして活躍中。

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