カタールW杯「チケット」異聞。チケットが最も売れている意外な国はどこ&日本は何位? (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

サウジアラビアで大人気

 4日間しか滞在できないという縛りもなくなった。これは近隣諸国からの日帰りが可能になったことが大きい。試合の日にはマッチデーシャトルという飛行機が各国からドーハに飛び、サポーターは試合を観るだけのためにカタールに入国し、宿泊は他の国にできることになったのだ。これでカタールのホテル不足問題も大幅に解消することになった。

 実はこの「日帰り可」への変更は、隣国サウジアラビアからの圧力がかなり大きかったようだ。彼らは車や飛行機でカタールまでやってきて、その日のうちに自宅に帰りたいからだ。サウジアラビアの上流階級は、今大会の最高の顧客なのだ。

 そんなW杯のチケットは今回、310万枚が用意されているが、一般に売りに出されているのはそのうち200万枚だと言う。残りは開催国カタールのVIP(首長の親族だけでもものすごい数がいる)、FIFA関係者や加盟国の協会役員、そしてスポンサー用となる。2018年のロシア大会では245万枚、2014年のブラジル大会では230万枚が一般客のために用意されていたのに比べると、今回はその数はかなり少ない。そして8月の時点で、すでに245万枚のチケットが持ち主を得ている。

 開催国がどこか、その時の自国チームの期待度はどうかにも大きく左右されるが、W杯のチケットが平均的によく売れる国は決まっている。アメリカ大陸ならブラジル、アルゼンチン、メキシコ、アメリカ合衆国、ヨーロッパであればイングランド、ドイツ、フランスだ。

 今回、FIFAは売れ行き上位10カ国の国名を明かしているが、その順位を問い合わせてみた。

 今回のW杯がいつもと様相が異なるのは、現段階で最もチケットが売れている国がサウジアラビアだということだ。チケット全体の30%がサウジアラビアで売れているという。サウジアラビアは開催国のカタールよりもはるかにサッカー熱の高い国だ。ご近所で行なわれる世界大会を見すごす手はないだろう。今大会はアラブ人サポーターの多い、ちょっとこれまでとは異なった雰囲気のW杯となるだろう。これは楽しみでもある。

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