カタールW杯「チケット」異聞。チケットが最も売れている意外な国はどこ&日本は何位?

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 サッカーのW杯は、ただ世界最強の代表チームを決めるだけの大会ではない。4年に1度のサポーターの祭典でもある。世界には、この大会のために4年間働き、仕事を辞めて試合を観に行くサポーターも少なくない。

 ブラジルの名門チーム、パルメイラスのスタジアムのそばには、いくつものカフェやバーがある。試合が行なわれている時間も、そこは人でいっぱいだ。チケットを買えなかったサポーターたちが、そこで試合をテレビ観戦するからだ。テレビで観るのなら家で観ても同じなのに??―と思うかもしれないが、それは違う。少しでもスタジアムのそばにいて、その熱気を肌で感じたい、ゴールを決めたら一緒に歓声を挙げられるかもしれない、それがファン心理というものだ。

カタールW杯チケット購入画面。最終販売が9月27日から始まった photo by AFLOカタールW杯チケット購入画面。最終販売が9月27日から始まった photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る それと同じで、たとえチケットをゲットできなくても、とにかくW杯を開催している国にいたいというサポーターは数多い。かくいう私もかつてはそんなファンのひとりだった。たとえスタジアムで試合は観れずとも、大会の熱気あふれる空気を吸い、世界中から集まってくるサッカーファンと互いのチームを称え、時には論議し、記念品を交換し合うだけでも十分に価値がある。大会の傍観者ではなく、一部になれるのだ。

 しかし、今回のカタールW杯に関しては多くのサポーターが大きな不安を抱いていた。さまざまな点で今までの大会とは異なっていたからだ。まず一番の問題はチケットがなければ大会期間カタールに入れなかったことだ。しかも、チケット1枚ではカタールにはたった4日しか滞在できないという縛りもあった。これでは思う存分、W杯の空気を満喫することはできない。

 しかし今、すべては変わった。カタールは首長の鶴の一声ですべてが変わる。それは大会の開幕戦のカードと日程が100日前に変更されたことから皆さんもよくご存じだろう。サポーターやチケットに関しても、同じようにすべてが一変した。まずはチケットを持っていなくても、チケットを持っている人の親族(従兄弟も可ということだから、結局は友人でも大丈夫ということだろう)なら、3人までがチケットなしでもカタールに入国できることになった。

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