パリ・サンジェルマンを彩ってきたスーパースターたち。王様ズラタン、ピルロの後継者、ベッカムの引退も... (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

史上最高額でネイマール獲得

 チームが完成形に近づいたこともあり、翌シーズンの夏の補強は約5000万ユーロ(約70億円)で獲得したブラジル代表DFダビド・ルイスと、フリーで加入したコートジボワール代表DFセルジュ・オーリエのふたりのみ。2015--16シーズンは、6300万ユーロ(約87億3000万円)で加入したアルゼンチン代表MF アンヘル・ディ・マリアが目玉となった。

 ブラン体制下、チアゴ・モッタ、ヴェラッティ、マテュイディの鉄板MFトリオを基本とする4−3−3の"プチ・バルサ(小さなバルセロナ)"は、初年度のフランスカップを除き、リーグ・アン、フランスカップ、リーグカップで計8冠を獲得。しかし、肝心のチャンピオンズリーグ(CL)では3年連続でベスト8の壁を破れず、ブラン監督の退任が決定した。

 クラブの野望が欧州制覇に絞られた2016--17シーズン、フロントは当時セビージャ(スペイン)をヨーロッパリーグ3連覇に導いたスペイン人ウナイ・エメリを招聘。クラブのアイコンとして君臨したイブラヒモヴィッチが退団した一方、総額6850万ユーロ(約95億円)の投資でベルギー代表DF トマ・ムニエ、ポーランド代表MF グジェゴシュ・クリホビアクなど、エメリ好みの中堅クラスの補強に集中した。

 ところが、リーグタイトルをモナコに奪われたうえ、CLではラウンド16でバルセロナに屈辱的かつ歴史的大逆転負けを喫したことで、ナーセル・アル=ヘライフィー会長が激怒。翌シーズンの夏、絶対に不可能だと思われたビッグディールを成し遂げる。

 ブラジル代表FWネイマールを、なんと2億2200万ユーロ(約308億円)というサッカー界史上最高額でバルセロナから強奪。さらに、まだ10代のフランスの神童キリアン・エムバペに対しても、翌年に1億8000万ユーロ(約250億円)で買い取ることを条件に、モナコからローンで獲得するという超大型補強を断行したのである。

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