絶望した時、奇跡は起きた。
94年W杯で見たロベルト・バッジョの神髄 (2ページ目)
キャプテン翼の影響からか、サッカーといえばブラジルというイメージが強かったが、南米勢を容赦なく叩き潰すミラン、とりわけオランダトリオ(ルート・フリット、マルコ・ファン・バステン、フランク・ライカールト)のダイナミックなプレーには、鳥肌が立つほどの衝撃を覚えた。
その頃はちょうど中学生だった。情報源は『週刊少年ジャンプ』からサッカー雑誌に代わり、新しい情報を手にするために貪るように読みふけった。
ちなみに周りには老舗の「M誌」派が多かったが、天邪鬼な気質のある筆者は、どこかマニアックなイメージのあった「D誌」派だった。それから10数年後、「D誌」編集部にお世話になるとは、その頃は夢にも思わなかったのだが......。
写真と活字が情報のすべての時代。トヨタカップ以外に映像を見ることはできなかったから、誌面からプレーのイメージを膨らませるほかなかった。
そのなかで出会ったのが、何とも不思議なヘアスタイルのイタリア人だった。
当時はユベントス(1990年〜1995年)に所属し、見た目は華奢で、白と黒のストライプのユニフォームは、明らかにサイズオーバーに見える。何よりもその後ろ髪! それでもボールを持つ立ち姿にはオーラが漂い、その表情も精悍。とうてい真似できないヘアスタイルも含め、とてつもなくかっこよく映った。
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