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メッシだけじゃない。モドリッチ、アザール...小柄な選手がトレンド? (4ページ目)

  • photo by JMPA

倉敷 前回のVARの話とも関係しますが、小澤さんはどんな風に分析していらっしゃいますか? 

小澤 今大会では、まずは手堅く守備から入るチームが勝ち上がったという印象がありました。そのなかで、ポゼッション型のスペインやドイツが早々に敗退したように、ゴール前で守備を固められた時、代表チームでは戦術練習の機会が少ないためにチームづくりの際に攻撃を多彩にすることが難しい部分が出たと思います。そういう意味で、各強豪国の監督は、とくに攻撃、得点というところでセットプレーに勝機を見出して、かなり作り込んできたという印象を受けました。

 そして、とくにヨーロッパでは、サッカーだけではなくボールを使った団体競技全体で連携を取りながら発展している部分がありますので、そこもサッカーの進化に影響していると思います。

 スペインにいてすごく感じるのですが、たとえばバルセロナが象徴的ですけど、フットボールだけではなく、バスケットボール、ハンドボール、フットサルなど、いろいろな競技が連携していて、各指導者が情報交換をしながら発展しています。とくにボールが止まった状態のセットプレーは、ハンドボールやバスケットボールの戦術をサッカーに落とし込みやすいということもあって、そういうものを代表レベルでも取り入れたのだと思います。

 今回はとくにイングランドがそれを熱心に行なったという風に思います。また、ベルギーもかなりセットプレーのバリエーションがありました。逆に守り方でいうと、僕はクロアチアが少しラインを自陣深くに設定しすぎている印象があって、決勝でもそこをやられてしまったところがあるので、そこはセットプレー時の攻め方と守り方で、少し明暗が分かれた大会だったのではないかなという風に見ています。

倉敷 中山さんはセットプレーに関してはどうですか? VARによってペナルティエリアの中のハンドもそうですし、ファウルも厳しく取られるようになると、お互い相手のシャツもつかめないという状況になっていて、いよいよセットプレーの時代が到来したという印象もありますが。

中山 これは日本代表の選手も言っていましたけど、ペナルティエリア内で相手のシャツを引っ張ってマークするようなプレーは、VAR導入によってやり難くなったことは間違いないでしょう。もしシャツを引っ張ったら、それはもうVAR判定によって確実に反則になってしまいますから。もちろんまだ若干はありますけど、以前ほど主審がコーナーキックの時にひとり1人に注意するシーンが減ったと思いますし、実際にシャツの引っ張り合いみたいなマーキングは減っていますよね。

 なので、そのなかでどういうディフェンスをするかという、とくに守る側は工夫をしていかないといけませんね。最近は背の高い選手も多くなってきていますし、いろいろなバリエーションでセットプレーの準備をしているチームが多いので、そこは守る側の課題として、どこのチームも磨いていかないといけないですね。

倉敷 いろいろなトレンドが生まれては、また変わっていくという繰り返しだとは思いますけども、次の4年後の大会ではどういう傾向になるのでしょう。実は4年前の大会の時に、僕は今回のような大会になるということを予測しきれなかった部分もあるので、これからはルールの部分やテクノロジーの部分と、うまく寄り添っていかなければいけないなと感じます。とくにリアルタイムでの戦術分析ということに関しては、ますます重要な時代になってくるのではないでしょうか。

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