メッシだけじゃない。モドリッチ、アザール...小柄な選手がトレンド? (2ページ目)

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小澤 たとえば、今回フランスが優勝したのでフランスを例にすると、やはりオリヴィエ・ジルーは前線でつぶれ役としてプレーし、グリーズマンやキリアン・ムバッペを生かすためにプレーしていましたので、そういった攻撃のオーガナイズが増えてきたという印象があります 。

 その背景には、ボックス内の守り方として、とくに2センターバックが、サイドからのクロスボールに対してきちんとニアとファーのエリアで蓋を閉じる守り方が目立っていたことが挙げられると思います。これは、もともとアトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督がディエゴ・ゴディン、ホセ・ヒメネス、あるいはステファン・サヴィッチでやってきた守り方なのですが、サイドを割られてもセンターバックが簡単につり出されずに、きちんと真ん中をケアして処理するという守り方がスタンダードになってきて、単純なクロスの放り込みだけではなかなか点が取れなくなってきたという戦術的なトレンドが、今大会で見えたと思います。

 そういう意味では、大柄なFWでターゲットマンとしてプレーする9番タイプの選手がロングボール、あるいはアーリークロスに合わせて点を取ることが難しくなったということが見えた大会だったと、僕は総括しています。

倉敷 この大会を見ていると、ひとりの突出したアタッカーよりも、2人ないし3人くらいのゴールを狙える選手がいるチームが強かったという印象があるんですが、それについてはいかがでしょうか?

小澤 そこは間違いなくあると思いますね。もはやサッカー自体が、ひとりのタレントだけでは簡単に崩せないような守備のレベル、あるいは戦術レベルの向上によって対応してきています。だからこそ、今大会のベルギーが象徴的でしたが、アザールを攻撃のキーマンとしながらも、どこからでも点を取れるチームが勝ち残ったと思います。

 3位決定戦でのトーマス・ムニエのゴールもそうですし、日本戦で見せたようなカウンターもそうでした。本当に攻撃がスピードアップした時にディフェンスラインからかなり強度の高いスプリントをかけて、ボックス内にディフェンスの選手が入ってくることも含め、ひとりのタレントだけでは難しいことが見えた大会だったのではないかと思います。それは、リオネル・メッシ頼みのアルゼンチンの早期敗退にもいえるのではないでしょうか。

倉敷 これは今後も続く傾向という気はしますね。

小澤 間違いなく続くでしょうね。もちろん違いを生み出すタレントも重要ですが、そこはフランスのディディエ・デシャン監督も言っていましたけれども、点を取る、あるいはしっかり守るという部分ではチームでやらないといけないというところは、今大会以降も代表の試合、あるいはワールドカップでは続くと思います。

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