ペップ戦術が「プレミア肉弾戦」を凌駕。
マンチェスター・Cが独走V (3ページ目)
しかし、2季目の今シーズンは選手たちに迷いがなくなり、考えるよりも先に身体が動くようになった。どの位置にポジションを取ればいいのか、あるいは、どこにパスが入るか。さらには、どのスペースに走り込めば有効なのか──。何度も何度も繰り返し刷り込むことで、パスの出し手も受け手も、味方の動きを予測しやすくなったのだろう。
チェスのようにロジックに基づいてポジションを取り、こうした動きを連続させることでチーム全体に連動性と一体感が生まれた。「選手の意識を変えた」と、そう言い換えてもいいだろう。だからこそ、選手の連係からパスがよくまわり、ファイナルサードで敵の守備網を難なく突破した。
選手たちの高いボールスキルを基盤としながら、ゴールまでの道筋を明確にし、イメージを共有する。このポジションに入れば、味方がゴール前に顔を出してくるはず──。こうして攻撃の形をなかばオートマチックにすることで、選手のテクニックや創造性もいっそう生きるようになった。
おかげで今シーズン、選手たちは目覚ましい進化を遂げた。
リーグ最多の15アシストを記録中のMFケビン・デ・ブルイネは、ダイナミックなプレーで攻撃陣を牽引。近年は伸び悩みが指摘されていたイングランド代表FWのラヒーム・スターリングは、昨季の7ゴールから今季は17ゴールと得点数を大幅に伸ばした。トッテナム時代はタッチライン際のアップダウンを繰り返すだけだった右SBのカイル・ウォーカーも、マンチェスター・C加入後は思い切ったダイアゴナルランが急増している。彼らの成長も、グアルディオラ監督のきめ細かい指導が実を結んだ結果だ。
冒頭のG・ネビルの言葉から評するなら、マンチェスター・Cの戴冠は、グアルディオラ監督の戦術コンセプトの勝利である。プレミアリーグに新時代が到来した。
◆浦和レッズ「顔が怖い暫定監督」で3連勝。新監督に引き継ぐのは得策か>>
◆「メッシ後継」を探すバルサが惚れた、あの童顔ストライカーの息子>>>
3 / 3