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浦和レッズのリーグ初優勝から19年 坪井慶介の後悔「2度目の優勝をもたらせなかった」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【歴史を塗り替えることができた】

 本音を言えば、とてもプレーできる状態ではなかった。ですが、ピッチに立たせてもらったのはやっぱりうれしかったですね。厳しい状態ではありましたが、立ちたいという思いはありましたから。ギドの思いに応えたかったし、「何かひとつは仕事をしよう」という思いでピッチに入ったことを覚えています。

 でも、僕が出たのはセンターバックじゃなくて、左ウイングバックだったんですよ。優勝のかかる大事な試合で、まさかやったことのないポジションを任されるとは思っていなかったので、正直、焦りましたね(笑)。

 僕ら3人を無理やり入れたことで、システムはめちゃめちゃになりましたけど、そういう大胆な采配を振るえることも、ギドのすごいところだと思います。思いつきというか、ひらめきというか、勝負師の感があるんでしょうね。やっぱり、経験値が違いますよ。ワールドカップの優勝メンバーですからね。

 優勝が決まった瞬間は、とにかくうれしかった。それだけです。しかも、最終節に埼スタで決められたのは最高でした。もっと早く決められる状況ではありましたし、決して引き延ばしたわけではないですけど、これも巡り合わせなのかなって。

 6万人を超える大観衆が詰めかけたホームで、大一番を制して初優勝を成し遂げられたのは、このチームの引きの強さを感じました。ギドがそういう星の下に生まれた存在だったんだなって、今となっては思っています。

 早いもので、あの優勝から19年が経ちました。もちろん、僕の人生においてものすごく大きな経験でしたし、今のところレッズの歴史において、唯一のリーグ優勝なんですよね。その瞬間に立ち会えたことは、かけがえのないものですし、歴史を塗り替えることができたことを誇りに思っています。

 一方で、あれ以来、レッズが優勝できていない現実は寂しいかぎりです。非常に大きなタイトルであったことは間違いないんですけど、それを続けることができなかった。翌年も連覇のチャンスがありながらも、終盤に失速して優勝を逃してしまいました。

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