三浦知良は前人未到の領域へ、たったひとりで... 58歳プロ40年目も「いつもと変わらず、元気よく、楽しく、厳しく」
プロ40年目のシーズンがこの日、幕を開けた。
JFLのアトレチコ鈴鹿に所属する「カズ」こと三浦知良が、6月15日に行なわれたY.S.C.C.横浜とのアウェーゲームで途中出場を飾った。3試合連続のメンバー入りで、今シーズン初出場を果たしたのだった。
2-0とリードした80分過ぎ、鈴鹿の背番号11がメインスタンド側のピッチサイド中央に立つ。またたく間にざわめきが駆け巡り、すぐに興奮へと変わる。
鈴鹿がCKの場面を迎えているのに、観衆の視線は登場を待つカズに注がれる。スマートフォンが向けられる。交代までに少し時間があったため、カズは観衆の声援に応えて小さく手を振った。横浜FC在籍時に選手とスタッフの関係だったY.S.C.C.の長嶺寛明監督には、笑顔で会釈をした。
58歳109日と自身の最年長出場記録をさらに更新した三浦知良 photo by ©️ヤナガワゴーッ!この記事に関連する写真を見る 鈴鹿の山本富士雄監督からは、「点を取ってくれ」と送り出された。4-2-3-1の1トップの立ち位置だが、長身FW福元友哉との2トップのようにも、トップ下のようにもプレーしていく。
ホームで2点のビハインドを背負う相手は、カズの出場と同じタイミングで2枚替えを行ない、攻撃の勢いを強めていた。カズは両手を大きく広げて、上から下へ下げる。「落ち着こう」というシグナルだ。
その直後に左サイドでボールを受けると、シンプルに味方へつなげてリターンパスをもらう。ボールを保持しながらゲームを進めていこうとのメッセージを込めてプレーするが、89分に失点を喫してしまう。
ここからは、2-1で終わらせることに注力した。
「ボールをもっとしっかり運んで、ゴール前までいければよかったんですけど、1点取られてからはもう割りきろうということで、逃げきろうと(ピッチの)中でも話していました。ホントならゼロで抑えなきゃいけない。最後のところの戦い方は、もう少し考えないといけないですね」
今シーズンは1月に負傷し、5月まで独自の調整が続いた。コンディションについて問われると、表情を変えることなく答える。
「少しずつ試合に出ていけば、調子は上がるのかなと思いますけれど。ホントに特別いいわけでもなく、特別悪いわけでもない、という感じですかね」
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