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浦和レッズのリーグ初優勝から19年 坪井慶介の後悔「2度目の優勝をもたらせなかった」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【優勝を確信したワシントンのゴール】

 そこにはやっぱり、過去の経験があったからだと思います。

 2002年に初めてナビスコカップの決勝に行ったんですが、その時は場の空気に飲まれてしまい、鹿島に完敗を喫しました。勝ち慣れてないチームのもろさを露呈してしまったんですが、次の年にリベンジを果たして優勝できたことが大きかった。翌年のチャンピオンシップではマリノスにPKで負けてしまいましたけど、2005年には天皇杯も獲ることができました。

 そうやって勝ち方を知るなかで、重要な試合でも落ち着いて入っていけるようになった。優勝決定戦となったガンバとの最終節も、それまでの経験が生きたと思います。

 もちろん、僕らが圧倒的に優位な立場だったことも大きかったです。3点差以上で負けなければいいという状況でしたから。ただ、引き分けや、負けても優勝という結末は避けたかった。ホームでもありましたから、最後は気持ちよく勝って、優勝したいというのはチーム全体の思いでしたね。

 僕はケガで離脱していましたが、この試合では久しぶりにベンチに入ったんです。プレーできる状態ではなかったんですが、左ひざにサポーターをぐるぐる巻いて、ベンチから戦況を見守りました。

 21分に先制点を奪われた時は、ちょっとだけ嫌な予感がよぎりましたね。当時のガンバは攻撃力が高かったですから、勢いに乗せたら厄介だなと。

 でも、直後にポンテが同点にしてくれて、前半終了間際にはワシントンが逆転ゴールを決めてくれた。この時に優勝を確信しました。さすがにここから4点も取られることはないですからね。

 僕自身はベンチで優勝の瞬間を見守るつもりでした。でも、3-2で迎えた終盤に、ギドに呼ばれて言われたんです。「お前はやっぱり、ピッチに立っていなくちゃダメだ」って。それで最後の最後に、試合に出ることになりました。

 同じタイミングで岡野さんも交代で入って、その少し前には(田中)達也も出ているんですね。ここまでチームを引っ張ってきた僕らに対する、ギドの計らいだったと思います。

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