佐野海舟が昌子源と植田直通から学び、柴崎岳から得たヒント、日本代表で気づいたこと (4ページ目)
年齢的には22歳と、まだ若手の枠に入るだろう。しかし本人も自覚しているように、日本代表に選ばれて得た刺激を、チームに還元していく立場になった。それが鹿島を成長させ、強くする。かつての先輩たちがそうだったように──。
「何でも口で言うのは簡単で、実際、行動に移すのが難しい。だから、試合中のプレーもそうですけど、行動でもっと示して、見に来てくれるファン・サポーターに気持ちが伝わる試合をしなければいけないと思っています。どれだけ、自分たちがその試合にかけているか。その気持ち、姿勢が見ている人に伝わる選手になれればと思っています」
そして、穏やかに語る佐野が最後に見せてくれたのは、芯の強さだった。
「今までの人生で、自分が選んだ道を必ず成功させてきたというか。こっちを選択しておけばよかったのに......と思ったことが一度もないんです。自分が選んだ道で成功するというか。
だから、選択や決断で後悔したこともないんですよね。周りからも、こうしていればよかったのにと言われたくないし、言わせたくない。だから、これから自分がどんな道を進んでいくかはわからないですけど、これまでもそうだったように、自分が選んだ道を必ず成功させたいと思っています」
世代別の時から縁がなかった日本代表に選ばれ、「そこに入り続けたい」と思った佐野は、2024年1月1日、タイ代表と試合を行なうメンバーに継続して選ばれた。自分が思った道を突き進む航海は、始まったばかりだ。その先には、これまでと同じく、きっと成功が待っている。
<了>
【profile】
佐野海舟(さの・かいしゅう)
2000年12月30日生まれ、岡山県津山市出身。2019年に鳥取・米子北高からFC町田ゼルビアに加入。同年5月の水戸ホーリーホック戦でJリーグデビューを果たす。J2で4年間プレーしたのち、2023年に鹿島アントラーズへ完全移籍。同年11月に日本代表に初招集され、W杯アジア2次予選のミャンマー戦でデビューした。3歳年下の弟・佐野航大はファジアーノ岡山を経て現在オランダ・NECでプレー。ポジション=MF。身長176cm、体重67kg。
著者プロフィール
原田大輔 (はらだ・だいすけ)
スポーツライター。1977年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めたのち独立。Jリーグを中心に取材し、各クラブのオフィシャルメディアにも寄稿している。主な著書に『愛されて、勝つ 川崎フロンターレ「365日まちクラブ」の作り方』(小学館クリエイティブ)など。
【写真】「あの人は今」元鹿島アントラーズFW田代有三さん
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