「小野伸二に引っ張られて頑張れた」黄金世代のGK南雄太が振り返る26年のサッカー人生 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

「自分の引退よりも、"伸二が引退しちゃうんだな"と思います。"もっとやってほしい"とか、そういうことではなく、なんか感慨深いというか......。ヤット(遠藤)とも今シーズン、試合後に話しましたよ。『来年もやるつもりなの?』『わかんない』とかって。やっぱり79年組のことは、お互いが気になっちゃうんですよね」

"黄金世代"のGKはそう言って、白い歯を見せた。戦いきった男だけが見せられる笑顔だ。

 そこで、最後に訊いた。

――自身のキャリアを変えたセービングはあるのか?

 彼は表情を崩して答えた。

「いっぱいありすぎて(笑)。たとえばPKを2本止めた試合や、終了間際のセービングで1-0勝利の試合は確かにうれしいんです。でも正直、クロスに出て、こぼさずにキャッチするというプレーも、同じくらいに充実感がありますよ。しっかりとキャッチすることで、敵の攻撃を断ちきれるし、味方に時間を与えられて、仲間を助けられるので。その瞬間は、最高でしたよ」

Profile
南雄太(みなみ・ゆうた)
みなみ・ゆうた/1979年9月30日生まれ。神奈川県出身。GKとして若くして頭角を現し、静岡学園高校卒業後、柏レイソル、ロアッソ熊本、横浜FC、大宮アルディージャでプレー。1997年、1999年と2度のワールドユースに出場。2023年10月、現役引退を発表。

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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