森島寛晃が責任を痛感した監督の寝言とは。終了間際の失点で優勝を逃した「長居の悲劇」の衝撃 (5ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Getty Images

 自分が決めていればチームは勝てたのではないか。

 森島がそう思うのには、セレッソの主軸としての責任感もあるが、それまで3回優勝を逃してきたなか、ある監督の言葉が胸に突き刺さっていたからだ。天皇杯での優勝を逸したあと、監督と食事をしたが、指揮官は疲れもあって、その場で寝てしまった。その際、監督が寝言で「モリシが入れておけばなぁ」とつぶやいた。それを聞いた森島は「やっぱり俺が入れておけばって思っていたんや」と思い、責任を痛感した。

 FC東京戦で西澤は結果を出したが、自分は得点をとれなかった。森島は、敗戦の責任と自分自身への悔しさを抱え、眠れない夜を過ごした。

(文中敬称略/つづく)

森島寛晃(もりしま・ひろあき)
1972年4月30日生まれ。広島県出身。静岡県の名門、東海大学第一高校(現:東海大学付属静岡翔洋高校)から、1991年にヤンマーディーゼルサッカー部に入団。同チームが母体となったセレッソ大阪が1995年からJリーグに参入。1年目から二桁得点を決めるなど、チームにとって不可欠な存在となり、「ミスターセレッソ」「モリシ」の愛称でサポーターから親しまれた。日本代表として1998年、2002年ワールドカップ出場。チュニジア戦で得点を決めた。08年に現役を引退。その後、チームのアンバサダーや強化部を経て、2018年12月より株式会社セレッソ大阪代表取締役社長に就任した。

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