「ブラジル料理よりも日本食が好き」というガンバ大阪のパトリック。日本で絶対に成功したいと頑張ってきた10年間 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

「家で自分で焼きそばを作ったりする」

 具体的に何が好物かと訊くと、パトリックは即座に日本語で回答した。

「とてもいっぱいよ。カツ丼、お好み焼き、たこ焼き、焼肉、牛丼、ラーメン、とんかつ、あとは寿司とか、だいたい全部大好き。家で自分で焼きそばを作ったりもするね。納豆だけはまだチャレンジできていないけど、それ以外はだいたいなんでも好き」

 初年度の2013年シーズンは、前半戦は川崎、後半戦はヴァンフォーレ甲府に、どちらも期限付きで在籍。シーズンを通じて、全公式戦で9得点を記録したが、契約の関係でシーズン後に一度帰国しなければならなくなった。

「本当は、その時もブラジルに帰りたくなかったんです」とパトリックは明かす。

「甲府と契約を延長する可能性もあったのですが、契約交渉がもつれてしまって。ブラジルでは4カ月間、家で過ごしたり、下部リーグの試合に出たりしていましたが、ガンバからオファーが来た時にはすぐに飛びつきました」

 そこから、パトリックの活躍が始まった。夏に途中加入すると、宇佐美貴史と2トップを組み、初先発から3試合連続で計4得点の荒稼ぎ。加入当初は16位に沈んでいたチームを前線から牽引し、リーグ戦の順位はみるみる上がっていき、最後はシャーレを掲げ、ふたつのカップ戦の決勝では重要なゴールを決めた。つまり、国内3冠の立役者のひとりになったわけだ。

「その前の年の経験が生きたと思います」とパトリックは回想する。

「Jリーグのディフェンダーの特徴がある程度わかっていましたし、自分に求められることも理解していました。ここではアタッカーも攻撃だけでなく、守備にも精を出さなければいけません。それまではボックスの中だけで仕事をしていましたが、相手の裏を突いたり、プレスに走ったりと、プレーの幅を広げられたのも大きかったと思います。

 それから、自分の意欲にも並々ならぬものがありました。日本で絶対に成功したい、成功しなければならない、と強く誓っていました。入ったばかりの頃はチームが難しい状況にありましたが、仲間たちと互いに理解し合い、歯車が噛み合うようになっていきました」

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