中村憲剛と佐藤寿人が2021シーズンを振り返る。「J1でもJ2でも個々の能力はそこまで大差はない」 (5ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

佐藤 今年のオフの補強でも、そういう意図が感じられますね。

---- 浦和の補強を見ていると、J2にもいい選手がいるんだなと感じました。発掘してきたフロントの見る目も称えられるべきことですけど。

中村 いいことだと思いますよ。J2で結果を出せばJ1のチームが吸い上げてくれるという流れに、ここ2、3年なっていますよね。これは日本サッカー的にはいいこと。実際にJ1でもJ2でも個々の能力はそこまで大差はないと個人的には思っています。

佐藤 そこから先なんですよね。

中村 そう。それは前回の対談(「プロサッカー選手の成否を分けるものは何か? 中村憲剛と佐藤寿人の答えは実にシンプルだった」)でも話したように、どこのカテゴリーにおいても、結果を残し続ける選手とそうではない選手との差があることは間違いありません。

 たとえば、監督がプレーモデルを示して、そこにハマる選手をしっかりと強化が獲ってくることも活躍できる要因のひとつかもしれません。各チームがそういう体制をしっかり整えれば、小泉(佳穂/前・FC琉球)や明本(考浩/前・栃木SC)、平野(佑一/前・水戸ホーリーホック)のように個人でJ1に上がってプレーできる選手がもっと増えてくると思いますよ。

 なので、J1やJ2、J3といったカテゴリーにくくりすぎる必要はないと思っています。大事なことは自分のいる場所で、結果を残すために全力で頑張ること。そのために何をするべきかは前回の対談を読んでいただければと思います。

(中編につづく)

【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに入団。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグ最優秀選手賞を受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重65kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。

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