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中村憲剛と佐藤寿人が2021シーズンを振り返る。「J1でもJ2でも個々の能力はそこまで大差はない」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 ですが、彼らはそのエクスキューズを全部跳ねのけて、終盤の7連勝も含めて駆け抜けていった。だから過去の2連覇とも、去年の優勝とも、ひと味違う優勝だったと感じています。

---- 勝負強さの要因はどこにあったと思いますか?

中村 まず、日常の基準の高さなのかなと思います。チームのなかの「当たり前の基準」が高かったなと。それは中にいた時も感じていましたが、外からより多くのJリーグの試合を見る立場になったなかで、より感じたところかもしれません。ある局面では試合より練習のほうがハードなところもある。そういった日常が勝負強さを植えつけていったと思います。

 あとは鬼さんの目ですね。たとえば(宮城)天が鹿島戦で決勝点を取って、次の湘南戦では知念(慶)が決勝点を取った。本当に苦しい連戦の最中、2試合連続でアディショナルタイムの決勝点で勝ったんです。天も知念も今シーズンの出場がそこまで多くはなかったのですが、トレーニングでのパフォーマンスをしっかり見たうえで鬼さんが起用を決断し、彼らもその期待に応えて結果を出したんです。

 こういう形での劇的な勝利がチームを乗せたと思います。また、夏以降は4−3−3にこだわらず、システムも柔軟に変えていました。在籍している選手の特性を生かしながらの起用法や、形を変えていくその目の確かさが、結果につながっていったと思います。

佐藤 たしかにどっちに転んでもおかしくなかったと思うんですよね。マリノスに勝ち点1差まで追い上げられた時期があったじゃないですか。フロンターレはどちらかというと、リーグよりACLを獲りに行っていたと思うんです。だからあの敗退から帰ってきて、アウェーの連戦が続いたなか、あそこでコケてもおかしくなかった。

 だけど、苦しいなかでもしっかりと勝ちきった。主役じゃない選手がしっかりチームを救う活躍を見せたのは、日常の基準が高いからなんでしょうね。そうでなければ、普段出場機会の少ない選手がパッと試合に出て、すぐに結果を出せませんから。

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