中村憲剛と佐藤寿人が2021シーズンを振り返る。「J1でもJ2でも個々の能力はそこまで大差はない」
中村憲剛×佐藤寿人
第8回「日本サッカー向上委員会」@前編
1980年生まれの中村憲剛と、1982年生まれの佐藤寿人。2020年シーズンかぎりでユニフォームを脱いだふたりのレジェンドは、現役時代から仲がいい。気の置けない関係だから、彼らが交わすトークは本音ばかりだ。ならば、ふたりに日本サッカーについて語り合ってもらえれば、もっといい未来が見えてくるのではないか。飾らない言葉が飛び交う「日本サッカー向上委員会」、第8回はJリーグ&日本代表ともに激動だった「2021シーズン」を振り返ってもらった。
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FC琉球から浦和に移籍してブレイクした小泉佳穂この記事に関連する写真を見る---- 今回は2021年の日本サッカー界を、おふたりならではの視点で振り返っていただきたいと思います。まずはJリーグから。今年も川崎フロンターレの強さが際立ちました。
佐藤 強かったですね。もっとフロンターレのサッカーを壊せるチームが現れるかと思ったんですけど、結局どこも攻略できなかった。そこを上回ったフロンターレもさすがですけど、本音を言えばもっと手こずる場面を見たかったですね。
中村 選手たちも、鬼木(達/川崎フロンターレ監督)さんも言っているとおり、夏以降に(田中)碧と(三笘)薫が抜け(田中→デュッセルドルフ、三笘→ユニオン・サン=ジロワーズ)、さらにケガ人も多く出て苦しんだ時期があったんですね。その間にルヴァンカップとACLを落とし、さらに隔離期間もあったので、その時期が一番苦しかったと思います。
そこから総力戦でいろいろなメンバーが出たり、いくつかのシステムを用いながら、最後に勝ち点3をもぎ取っていく勝負強さがあった。そこはメンタルが相当強くないとできない作業だったと思います。言い訳をしようと思ったら、いくらでもできたシーズンだったわけですから。
---- 言い訳とは?
中村 昨季が終わったあとに選手が入れ替わり、夏に碧と薫が抜けました。連戦のなかでチーム内にコロナ陽性者が出てしまったり、ケガ人も数多く出ました。そこまでの状況に陥ったら「負けてもしょうがない」という感情に流されてしまいがちです。
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