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福田正博が見た浦和レッズの2021「最大の収穫は世代交代の推進」。来季への提言も (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

【来季のポイントは3つ】

 浦和の来季への期待も高まるが、Jリーグのトップを争うクラブになっていくためには、まだまだ課題も少なくない。大きなポイントとしては3つある。

 ひとつはポジショナルプレーのレベルアップだ。今季は目新しさもあって通じた面もあったが、来季は相手に研究される。それを上回るクオリティーとバリエーションを手にしなければならない。

 ふたつ目は得点力をどれだけ高められるか。優勝した川崎フロンターレのリーグ戦での総得点は81点。2位の横浜F・マリノスが82点。対して浦和は45点しかなかった。ユンカーが今季加入当初のパフォーマンスを維持できていたら、もう少し伸びたかもしれない。来季はACLも戦うため、新戦力の補強を含めて得点力アップの手立ては重要なポイントだ。

 最後のひとつは来シーズンだけではなく、先々も含めたことだが、6万人の観客をスタジアムに呼び戻せる魅力あるクラブになれるかだ。

 コロナ禍で満員のスタジアムでサッカーのできない日々が続き、忘れられているかもしれないが、浦和がリーグ戦で埼玉スタジアムに6万人以上の観客を集めたのは2007年が最後。そこからもう15年近くが経っている。

 これを再び6万人以上の観客が詰めかけるクラブにするのは容易ではない。"強さ"と"華"の両輪が揃わなければ厳しいだろう。

 JリーグはFC東京や鹿島アントラーズのように、親会社が新たな企業に変わるクラブが増えている。浦和はもともとサッカー熱の高い地域の人たちに支えられてきたクラブだが、これまでどおりそこに甘えているだけではいけない。危機感を持って臨んでいかないといけないだろう。

 なにはともあれ、クラブにとって大きな転換点となったシーズンの最終試合で結果を出し、来季はACLの出場権を獲得した。2017年以来の優勝を目指してもらいたいし、6位に終わったリーグ戦でもトップ3を脅かす存在になってほしい。そして名実ともにJリーグ屈指のビッグクラブになれるよう、ステップアップしていってくれるのを願っている。

◆2021 J1月間ベストイレブン フォーメーション

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