J2からの「個人昇格」で際立った活躍。近年の移籍トレンドを代表する選手たち
J1リーグ2021/移籍が功を奏した男たち
第3回:J2からの個人昇格組
近年、J1クラブへの選手供給ルートとして確立されてきたものに、J2クラブからの移籍、いわゆる「個人昇格」がある。
J2のFC岐阜からJ1のヴィッセル神戸へと個人昇格を果たし、さらには今夏、スコットランドのセルティックへと海外移籍を実現した古橋亨梧のシンデレラストーリーはその代表例だが、今季もまた、何人もの個人昇格組が日本最高峰のリーグで一躍才能を開花させた。
なかでも、今季J1で個人昇格組の活躍が目立ったクラブがふたつある。
まずは、天皇杯王者となった浦和レッズだ。
J2のFC琉球から浦和レッズへ移籍し、一年を通して主軸として奮闘した小泉佳穂この記事に関連する写真を見る 昨オフにFC琉球から移籍したMF小泉佳穂と、同じく栃木SCから移籍したMF明本考浩が、今季開幕戦にそろってスタメン出場。優れた技術を生かして攻撃にアクセントを加える小泉と、FWからサイドバックまでマルチにこなす明本というように、特徴こそまったく異なるふたりだが、ともに浦和に不可欠な選手として1シーズンを通してピッチに立ち続けた。
また、今季の浦和には、シーズン途中にも新たな個人昇格組が加入。それが、水戸ホーリーホックから移籍のMF平野佑一である。
ボランチの位置から効果的な縦パスをタイミングよく打ち込む平野は、リカルド・ロドリゲス監督が目指す、パスをつないで攻撃を組み立てるスタイルと相性抜群。夏の移籍だったにもかかわらず、チームにフィットするのにもさほど時間を要することはなく、たちまち攻撃の要とも言うべき存在となっていった。
J2からの個人昇格、しかもシーズン途中の移籍で浦和入りした平野は、まさに今季の移籍トレンドを代表するような選手だと言えるだろう。
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