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坪井慶介が振り返る現役時代。
オフト監督との出会いが運命を変えた (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki



 浦和で最も印象に残っているのは、リーグ優勝でもなく、ACL制覇でもない。クラブにとっての初タイトルとなった、2003年のナビスコカップ優勝である。

「初タイトルというのはもちろんありますけど、前年の決勝で敗れた鹿島にやり返した気持ちが大きかった。リーグ優勝もACL優勝も、もちろんうれしかったですけど、一番の思い出はナビスコカップ優勝になりますね」 

 数々の栄光を浦和にもたらした坪井だったが、その蜜月関係が終わりを迎えたのは、2014年のこと。契約満了を告げられた坪井が次に向かったのは、湘南だった。

「当時もチョウ(・キジェ)さんが監督でしたが、相当キツい練習をするチームだというのは知っていました。僕はその時36歳だったんですが、湘南の選手からは『36歳の選手が来るチームじゃないですよ』って言われたくらいでしたよ(笑)。実際に練習は厳しかったですけど、今振り返っても湘南に行ってよかったと思います」

 湘南ではJ2降格を味わい、J1昇格も経験した。決してレギュラーにはなりえなかったものの、湘南にいた3年間は坪井にとって、大切な時間となった。

「思い出深いのは、やっぱり日々のトレーニングですね。厳しかったのはもちろん、練習環境もレッズに比べていいとは言えなかった。でもそのなかで、みんなで助けあい、手を抜かずにハードなトレーニングを続けて、成長につなげていく。サッカー選手としての原点というか、本質をあらためて実感できたので、本当にいい経験でした」

 2017年、湘南で再び契約満了となっても、サッカーを辞める気はなかった。それは、山口で2シーズン目を迎えた今季開幕前も変わらない気持ちだった。

「今年で40歳となりましたが、開幕前は辞めようとはまったく考えていなかったんです」

 ところがシーズンが進むにつれて、引退に気持ちが傾くことになる。

「(引退を)考え出したのは、夏くらいですかね。自分のなかでいろんな理由が出てきて、熟慮した結果、今が引き際だろうと決断しました」

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