坪井慶介が振り返る現役時代。
オフト監督との出会いが運命を変えた (2ページ目)
でも、オフトは『なにも心配するな。もう準備はすんでいる。明日はきっと勝つよ』って。そしたら本当に勝つことができた。おそらくオフトは、僕らに自信を持たせるために、ああいうことを言ったんだと思います。どんな状況であっても、冷静に先を見ることができる人。本当にすごい監督だなって思いました」
13年間在籍した浦和では、監督だけでなく、個性的な選手たちとの出会いもあった。
「クセのある奴ばかりでしたから(笑)」
個性豊かな選手たちと一緒にプレーすることで、坪井は成長することができた。
「1年目に一緒にやった井原(正巳)さんは、精神的な部分での存在感が大きかったですね。当時の僕は3バックの右に入っていたんですが、井原さんがとなりにいるだけで、安心感がありましたし、思い切ってプレーすることができました」
とりわけ、リーグ優勝とアジア制覇を果たした2006年、2007年のチームには、頼りがいのある選手が数多く存在していたという。
「あの頃はお互いがお互いを理解して、信頼し合ってプレーできていました。たとえば(田中マルクス)闘莉王なんかは、ふらふらっと上がっていって、のんびりと戻ってくるじゃないですか(笑)。それはチームとしてマイナスに見えるけど、彼の攻撃参加は間違いなく武器でしたし、実際に仕事をして帰ってくる。だから僕らも、『行ってらっしゃい』って(笑)。僕と(鈴木)啓太と阿部(勇樹)でなんとかできるという自信がありましたから」
同い年の小野伸二とも、揺るぎない信頼関係で結ばれていた。
「伸二なんて、『どうせ、ボール取るでしょ。取ったら、ちょうだい』って感じでしたし。だから、僕も『じゃあ、奪うわ』って。そういうノリでやっていましたよ」
熱きサポーターの存在も、坪井のサッカー人生において、欠かせないものだったという。
「あの環境でできたのは幸せでしたね。若い頃は、ブーイングされたら『しょうがないじゃん』って思うこともありましたけど、浦和レッズでピッチに立つというのは、それも含めてのことだと思うようになりました。僕は、あの人たちのためにやらなければいけないと思ってピッチに立っていましたし、サポーターが強くしてくれたところは間違いなくありますね」
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