清水への移籍を迷った森岡隆三。
鹿島と対等での戦いに違和感があった (2ページ目)
移籍加入後初ゴールを決めたセルジーニョも小さな安堵感を見せていた。
「第一印象が大事なので、出来れば、最初の試合で点を獲りたかったんですけど、残念ながら、うまくはいかなかった。でも、自分が真摯に練習に取り組んだ成果というのが、この大事なACLという大会で点を獲ることで出せたんじゃないかな」
得点直後の失点、終了間際の失点、大量失点など、今年の鹿島の失点は"らしくない"ものが少なくない。そういうチーム状況を踏まえたうえで、ピッチに立った内田は、「ホームアンドアウェイって絶対にホームで失点しちゃいけない」と何度もチームメイトに訴えた。
「試合中もDFラインを集めて話しました。そのうえで、あわよくば、3点目、4点目を狙っていこうと。最後はシュートを打って終わる。当り前のことをやっていかないと勝てないというのがあるし、そこらへんは散々、ホームアンドアウェイをやってきたんで。わかっているつもりではいます」
シャルケ04時代、欧州チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの決勝トーナメントでの試合を毎シーズンのように経験してきた内田。右サイドに立ちながら攻守に渡り、チームをコントロールする。その姿には、文字通り"ベテラン"の風格が漂う。周囲のベテラン選手に支えられ、引っ張られるようにプレーし、育まれていた8年前の内田が懐かしく思い出された。
「(小笠原)満男さんだったり、マルキ(マルキーニョス)だったりの後ろ姿でね、教わってきた。今の選手は若いけれど、ちゃんと、やっていこうって話せば、ピッチで表現できる技術があるから。いいチームだと思う。でも、そういうやるべきことをACLだけじゃなくて、Jリーグとか、他の試合でも詰めていかないと、本当の強さは出てこない。それが出ないと鹿島じゃないから」
アントラーズの一員として、あるべき姿を伝えるべき立場になった内田の言葉が、重く響いた。
天津権健とのセカンドレグは9月18日。そこまでの間には、Jリーグだけでなく、ルヴァンカップも控えている。ACL後には天皇杯もあり、どの試合も落とせるものではない。当たり前のことを当たり前にやれるかどうか。正念場は続く。
2 / 6