2018.09.03

マリノス、原点回帰で貴重な1勝。
残留争いから抜け出す契機となるか

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

「ほぼ主導権を握れていて、自分たちのサッカーが表現できたと思います」

 横浜F・マリノスのアンジェ・ポステコグルー監督は、そう言って試合を総括した。ホームに柏レイソルを迎えたJ1第25節、横浜FMは3−1で勝利した。勝ち点3を掴んだのは、結果的に原点回帰によるものだった。

柏レイソル戦で2ゴールを決めた伊藤翔 横浜FMが標榜しているのは、単純なポゼッションサッカーというだけではなく、思わず独自と表現したくなるハイラインとハイプレスにある。そうしたサッカーを構築する過程での”生みの苦しみ”とでも言えばいいだろうか。今シーズンの横浜FMは、なかなか結果が伴わず、苦しんでいる。

 試行錯誤するなか、指揮官はシステム変更を決断。J1第22節の名古屋グランパス戦から方向転換を図り、4−3−3から3バックを主体とした3−6−1で戦っていた。

 ただ、それでも1勝3敗と成績はふるわず。システム変更は、浮上への起爆剤にはなっていなかった……。だが、柏レイソル戦では、3バックのセンターを務めてきたDFドゥシャンが出場停止。ふたたび慣れ親しんだ4−3−3に回帰すると、これが見事にハマった。

 前半5分こそ、前線に狙った縦パスをカットされ、逆に縦につながれると、FW伊東純也に抜け出されてシュートを打たれたが、その後はポステコグルー監督も語ったように、完全に主導権を握った。中から外、外から中へ――。横浜FMは巧みなパスワークで柏のプレスをかいくぐると、前半11分には左サイドでつないで相手を翻弄。最後はMF喜田拓也の縦パスからFWオリヴィエ・ブマルがバー直撃のシュートを放った。

 前半27分には、左サイドバックながら攻撃時には中に入って組み立てに参加する山中亮輔が負傷。山中は、いわゆる横浜FMの独自スタイルを象徴する選手だが、そうした不測の事態にも選手たちはスムーズに対応した。急遽、左サイドバックを担った喜田は「やったことはなかったですけど、アクシデントはサッカーをやっていればあること」とはにかんだが、それだけ慣れ親しんだ4−3−3システムには、やりやすさと自信があったのだろう。