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マリノス、原点回帰で貴重な1勝。
残留争いから抜け出す契機となるか (3ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

「4−3−3システムだと、自分がボールを持ったときにサイドに人がいるので(チームメイトを)使いやすいというのはある。3−6−1システムでも、(J1第24節の)ヴィッセル神戸戦では勝利していますし、相手に合わせて臨機応変に使い分けられたらとも思う。ただ、今日の相手には4−3−3がばっちりハマっていた」

 横浜FMの多彩な攻撃が際立った一方で、裏を返せば柏の拙(つたな)さが目立った試合でもある。柏の加藤望監督は、きっぱりと「影響はない」と語ったが、横浜FMが急遽3バックから4バックにシステム変更してきたことによる守備の対応に難があったと言わざるを得ない。

 柏はボールを保持する横浜FMに対して、積極的にプレスをかけていったが、闇雲に追いかけるだけで、どこに追い込むのか、どこで奪うのかが明確ではなかった。だからこそ、距離感のよかった横浜FMは、たやすく相手の守備をはがすことに成功していたし、多彩な攻撃を繰り出せてもいた。

 試合前は柏が12位、横浜FMが15位と、ともに残留争いを強いられているが、同勝ち点29ながら得失点差で横浜FMが14位、柏が15位となった状況には、ここまで築いてきた、貫いてきた姿勢があるように思う。まさにチームとして培(つちか)ってきたものの差が、結果として表れたような試合だった。

 ただ、柏戦に勝利したとはいえ、残留争いをしている横浜FMの立場が大きく変わったわけではない。それは、誰よりもピッチで戦っている選手たちが身に染みてわかっている。伊藤が噛みしめる。

「今日、勝ったことは何より大事ですけど、今シーズンは次の試合に負けて勢いに乗れないことが続いているので、次も何とか(力を)振り絞って勝ちたい」

 育成年代から横浜FMで育ち、誰よりもこのクラブを思う喜田も続ける。

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