J1に帰還する「2人のレジェンド」。
札幌・小野伸二と稲本潤一の今 (3ページ目)
一方の稲本は、昨年6月に行なわれたJ2第16節(ジェフ千葉戦)で右ひざ前十字靭帯を断裂する重傷を負ったが、沖縄キャンプでは復帰に向けた最終段階に入っていた。主に体幹や筋力の強化をしながら、時には戦術練習にも参加した。「(回復は)予定どおりですね。沖縄では試合に出ないけど、(2月9日からの)熊本キャンプから合流し、試合のメンバーにも入っていけるようにしたい」と、こちらもポジティブな表情で現状を語る。
小野と稲本が口を揃えていたのは「焦らずにやる」ということ。現在37歳のふたり──誕生日は9日違い──にとって、そこが最も重要になるだろう。本来、高い能力を有するベテランは、実戦の場から長く離れていても、万全の状態になれば再びトップに君臨できる。競技は異なるが、テニス界のレジェンドである35歳のロジャー・フェデラーが、「最高のレベルに戻るために」と約半年を休養とリハビリに充て、先の全豪オープンを制したように。
小野と稲本にも、周りの雑音は気にせずに自分のことだけに専念して、100%の状態でピッチに戻ってきてほしい。そうすれば、きっとJ1の舞台で、もうひと花咲かすことができるはずだ。「希望的観測に過ぎない」と否定する人もいるかもしれないが、フェデラーが再びグランドスラムを制すことになると予想できた人もそれほど多くはなかったはず。一度、トップレベルに身を置いた選手なら、周囲をいい意味で裏切る「奇跡」は起こせるのだ。
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