サッカー日本代表のアウェー戦はなぜクリケット場で開催? オーストラリアのスポーツとスタジアムの歴史 (4ページ目)
【クリケット場の特徴】
ただし、残念ながらクリケット場ではサッカーの試合は見やすいとは言えない。
クリケットのフィールドは長径が140メートルほどの楕円形で、サッカーやラグビーのピッチよりだいぶ大きい。だから、陸上競技場と同じで、スタンドとピッチが遠くなってしまうのだ。しかも、周囲にトラックがある陸上競技場と違って、大きな楕円形の緑の真ん中に長方形のピッチが描かれているので間延びした感じがする。
しかも、クリケット場は1階スタンドの傾斜が緩いことが多く、さらに記者席も1階に設けられている。
2000年のシドニー五輪の時、僕は記者登録できなかったので一般入場券で観戦していたのだが、日本対ブラジル戦の会場はブリスベンのクリケット・グラウンド(1895年完成。4万5000人収容)だった。しかも、入手した入場券は1階席の前列。これでは、とても試合展開を見ることはできない。
「どうしようかなぁ?」と思っていると、2階席に上がる階段のところでチケットをチェックする係員と観客の間でトラブルがあったらしくて揉めている。そこで、僕はすっと係員の横をすり抜けて2階席に潜入。ブラジル戦を無事に観戦することができた。
ドッグランズ・スタジアムからの風景(写真は後藤氏提供)この記事に関連する写真を見る 2016年10月には、ロシアW杯予選のアウェーゲームがメルボルンのドックランズ・スタジアム(2000年完成。5万6000人収容)で行なわれた。これも、クリケットとオージーボール用のオーヴァルで、記者席も1階にあって見にくそうだった。
そこで、僕はオーストラリアのチケット販売サイトで一般入場券を買って観戦することにして、2階の前から2列目の席を予約した。スタンドの写真を見ると、最前列に高い手すりがついており、最前列では視界を遮られそうだったので2列目にしたのだ。
おかげで、原口元気が先制ゴールを奪ったものの、後半PKで追いつかれたオーストラリア戦をちゃんと観戦することができた。
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著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。
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