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サッカー日本代表のアウェー戦はなぜクリケット場で開催? オーストラリアのスポーツとスタジアムの歴史 (3ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

【収容力の大きいクリケット場でW杯予選を開催】

 一方、サッカーはかつてはあまり人気がなく、「欧州移民のスポーツ」と思われてきたが、20世紀末頃からオーストラリアでも徐々にサッカー人気が高まってきた。

 前回コラムでもご紹介した1993年のW杯予選大陸間プレーオフ(対アルゼンチン)はシドニー・フットボール・スタジアム(サッカー、ラグビー専用。1988年完成。2022年に新スタジアムが完成)で行なわれ、4万3967人の観衆を集めたが、これは当時のオーストラリアサッカー史上最多入場記録だった。

 4年後の大陸間プレーオフは、ジョホールバルでのアジア第3代表決定戦で日本に敗れたイランとの戦いとなった(当時、オーストラリアはオセアニア連盟所属)。ホームゲームの会場はMCGで、観客はなんと8万5022人にも上った。4年間でサッカー人気はここまで高まっていたのだ(もっとも、観客の多くは「アウェーゴール・ルール」を知らず、試合後には「引き分けなのに、なぜダメなの?」と不思議そうにつぶやいていたが......)。

 そして、その後も大観衆が集まるサッカーのビッグゲームは収容力の大きなクリケット場で行なわれることが多い。

 日本とオーストラリアはW杯予選で毎回同組となり、まるで定期戦のようだが、2009年の南アフリカW杯予選はMCGで行なわれ、その後も各地のクリケット場が舞台となってきた。

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