サッカー日本代表が最速でW杯出場権を獲得しても素直に喜べない 「ぬるま湯」がもたらす大問題 (3ページ目)
さらに悲観的な話をするならば、フレンドリーマッチが組みにくくなっている現状も挙げられる。欧州勢の来日が難しくなったので、日本は勝って当たり前の相手と戦うことが多くなる。今年の元日に招いたタイ代表などはいい例だ。スコアは5-0。物足りない相手に大勝する姿は、今予選と同様だ。
選手のレベルが上がっているのは間違いない事実だが、ぬるま湯につかるなかで大勝しても、結果を額面通りに受け止めることはできない。チーム強化は進まない。看過できない問題だ。
欧州ではまだ予選さえ始まっていない時期に、日本の本大会出場が決まろうとしている。残る4試合は来年3月と6月に各2試合ずつ行なわれる。日本はここにどんなメンバーを送り込むつもりなのか。スタンドはどれほど埋まるのか。つける薬は見当たらない。
著者プロフィール
杉山茂樹 (すぎやましげき)
スポーツライター。静岡県出身。得意分野はサッカーでW杯取材は2022年カタール大会で11回連続。五輪も夏冬併せ9度取材。著書に『ドーハ以後』(文藝春秋)、『4-2-3-1』『バルサ対マンU』(光文社)、『3-4-3』(集英社)、『日本サッカー偏差値52』(じっぴコンパクト新書)、『「負け」に向き合う勇気』(星海社新書)、『監督図鑑』(廣済堂出版)、『36.4%のゴールはサイドから生まれる』(実業之日本社)など多数。
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