パリオリンピックで連勝のサッカー男子 好調を支える要因と次戦以降につながるプレーとは (2ページ目)
【攻撃的サッカーが浸透している】
初戦との入れ替わりは以下の3カ所だった。木村誠二→西尾、三戸→荒木、平河悠→山田。だが選手は代わっても、高い位置から積極的にボールを奪いにいく姿勢に変化はなかった。さらに言えば、時間が経過してもそれは維持された。
前から行くイメージが共有され、浸透しているのだ。選手は一定のイメージを描きながら、迷いなくそれを遂行できている。その前向きさがチャレンジャー精神と融合し、好ムードを醸し出すことに成功している。
試合は後半37分まで0-0で推移した。前半はどちらかと言えば、日本が攻め、マリが守る展開。後半はマリが攻め、日本が耐える展開だったが、精神的には常にいい勝負だった。どちらもパニックに陥ることがない、緊迫感の高い試合だった。
日本を支えたのは、高い位置からの守り、すなわち前向きなイメージに基づく攻撃的な姿勢だった。後半なかば過ぎ、マリの攻勢が強まると、日本は決定的とも言えるピンチを迎えた。そこで1点奪われていたらどうなっていたか、定かではない。ラッキーな要素に後押しされたことは確かながら、常にあるレベルのプレースタイルを日本はチームとして追求できていた。いいボールの奪い方、悪くないボールの奪われ方に、それは表れていた。
それは前々日、スペインと戦ったなでしこジャパンとは大違いだった。先制したものの同点に追いつかれると、すかさず後ろを固める5バックに変更。だが逆転弾を許すと今度は一転、4バックに戻した池田太監督の采配だ。そうした戦術の変更に、選手はついていくことができていたか。
選手は「守り」と言われれば後ろで構えることになる。4バックから5バックへの変更はそうした意味で行ないやすいが、その逆、低い位置で守っていたものをハイプレスに変更することは、難易度は上がる。筆者には机上の空論に映るのだ。
だが大岩采配にその手の不安はない。首尾一貫している。攻撃的サッカーが浸透している。試合の中で5バックに変更したり、4バックに戻したり......は、よほどのことがない限りなさそうだ。
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