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パリ五輪代表メンバーをどう評価すべきか 浮沈のカギを握るのは1トップ問題 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki

【ネックは決定力不足】

 優勝したU23アジアカップの戦いぶりから見る限り、大岩采配に特段、大きな問題は見当たらない。ただ単に優勝したのではない。多くの選手を使い、能力を確かめるようにテストをしながら勝ち上がっていく姿に、余力を感じた。選手選考という視点に照らせばフェアだった。残念ながら落選した選手も、ある程度、納得できているのではないか。

 フィールドプレーヤー16人で行なう五輪サッカーは、ベンチに下げる選手と異なるポジションの選手を投入する、いわゆる戦術的交代が大きなポイントになる。選手を使い回す監督采配の善し悪しに成績は委ねられる。前回、東京五輪の森保一監督の采配は、その点に大きな問題を抱えていた。「日本は先を考えて戦うにはまだ早い」と同監督は述べたが、つまりそれは、途上国を指揮する監督の方法論でメダルを狙おうとしたことになる。大岩采配はそのレベルからは確実に脱している。

 決勝戦(3位決定戦を含む)までの6試合をほぼ中2日で戦う五輪。戦術的交代を円滑に行なうためには多機能型選手が必要になる。藤尾(右ウイングと1トップ)、平河、佐藤(ともに左右ウイング)らが当選した理由だろう。荒木も、今季移籍したFC東京で、1トップ周辺でプレーしたことが奏功したと考えられる。単なる攻撃的MFからアタック能力を高めたことで当選圏に入った。逆に左足キックに定評がある山田楓喜(東京ヴェルディ)は、右しかできないことがネックになったのではないか。26人枠なら文句なく選考されただろうが、18人になると右サイドオンリーは大きな足枷になる。

 攻撃陣の話を続ければ、ネックは決定力不足だろう。先発候補の細谷は万能型ではない。ポストプレーが得意とは言えないので、必然的にパス回しに関与する機会が減る。攻撃がもうひとつ多彩にならない理由だ。

 ただ、そうも言っていられないのが現実だ。170センチ台の1トップを前線で待つタイプのストライカーにさせている限り、攻撃は活性化しない。多少無理してでもパスワークに関与させるべき。バランス的に、真ん中にボールが入らないと、得意のサイド攻撃も活きてこないのだ。

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