中村憲剛&佐藤寿人が「GK問題」に見る世代交代の必要性「パリ経由でひとりでも多くA代表へ」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

── それも今回の長友招集につながっているんでしょうね。

憲剛 彼はトレーニングから明るく前向きな姿勢でやるので、そういうところがほしいんだと思います。

── アジアカップでは「GK問題」も議論の的となりました。

寿人 アジアカップは(鈴木)彩艶に任せるって決めていたんじゃないですかね。それまで重用してきた大迫(敬介)をケガで招集できなかったのは誤算だったと思うんですけど、その状況下で序列うんぬんではなくて、今回は彩艶に託したところがあったと思います。ミスが続いたなかでも使い続けたというのは、そういう考えがあったからじゃないですかね。

憲剛 本当はひとり、経験のある選手を入れてもいいかなと思いました。彩艶だけじゃなくて、前川(黛也)にしても、野澤(大志ブランドン)にしても、国際大会は初めてだったわけですから。

寿人 そうなんですよね。

憲剛 目論み自体はあったと思うんです。彩艶でこの大会を戦い抜けたら、おそらく向こう10年は任せられる。実際にそれくらいのポテンシャルのある選手だとは思いますが、現状は経験を積みながらベースを構築している段階の選手なので、大舞台を任せられたのは難しい部分もあったと思います。

 でも、これも結果論ですから。もしかしたら、優勝して自信をつけてブレイクしていた可能性もあるので、すべてを否定することはできません。これはキーパーだけじゃなくて、今回は経験者自体がそこまで多くなかった。

 前回大会を経験している選手が伝えるという観点で言うと、「アジアは厳しい、甘くない」と誰が伝えられたのかなと。大会が始まって、ベトナムに苦戦し、イラクに敗れたことで気づいた感じだったと思うので、その意味では「本番の経験」が足りなかったとも言えるのではないでしょうか。

寿人 優勝したカタールをはじめ、今回のアジアカップではヨーロッパ出身の監督が多かったんですよ。大会全体を見ても、アジアのレベルが上がってきたなというのはすごく感じましたし、日本だけじゃなく、アジアの国々も同じような進歩をしているんだなと感じられる大会だった。これはアジア全体を考えてもいいことだなと思いましたね。

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