中村憲剛&佐藤寿人が「GK問題」に見る世代交代の必要性「パリ経由でひとりでも多くA代表へ」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

 そのなかでどうやって選手を起用していくかは、かなりの悩みどころだったと思います。純也もそうだけど、状態がよかった(旗手)怜央も途中で離脱してしまったことで、森保さんもそうとう困ったと思います。

寿人 あれは痛かったですよね。そもそも使える選手が限られていたじゃないですか。細谷(真大)とか、佐野(海舟)とか、本当はもっと使いたかったはずだけど、初戦のベトナム戦から厳しい戦いになってしまって、ラクな状況で起用することができなくなってしまった。

 結局、遠藤(航)が出ずっぱりになってしまいましたからね。代えたいけど、代える余裕がなかったんだと思います。

── 大会後に守田英正選手が「もう少しベンチから提示してほしい」という趣旨の話をしていましたが、あの発言が日本代表の現状を表わしているのでしょうか。

寿人 メディアを通してチームのことを話すのは、森保さんが一番嫌がることなんですけど、守田もたぶん、それをわかったうえで覚悟を持って発言したというのは、やっぱり何かを変えなきゃいけないっていう危機感があったからだと思うんですよ。

 決して、ストレスだったり、不満を吐露したわけではなくて、チームの中心として長くプレーしてきた彼の責任感によるものだったと思います。

── 寿人さんは近くで見ていて、チームの雰囲気をどう感じていましたか。

寿人 ちょっと淡々とトレーニングをしているような雰囲気は感じましたね。自然体と言えばそうなんですけど、練習中に一番声が出ているのは、名波さんなんですよね。

憲剛 それは年末の合宿でも感じたかな。もちろん選手も声は出していたけど。

寿人 ひと言で言えば、おとなしい。別に常に大きな声を出していればいいってものでもないですけど、トレーニングをピリッとさせるためにも選手側から声が出てこないと、ただやらされている感じが出てきてしまうんですよね。

 よく言えば落ち着いてトレーニングをしているんですけど、悪く言うと積極的にトレーニングをしている感じではなかった。もちろん、練習の公開時間は限られているので、僕が見ていないところでは違ったかもしれない。でも、その空気感も含めて「絶対にアジアカップを獲るぞ」という熱量は、トレーニングからも物足りないなと感じていました。

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