トルシエが「森保には心から驚いた」と絶賛するわけ。W杯後に日本で起こったPK論争には疑問を呈す
フィリップ・トルシエの哲学
連載 第3回
カタールW杯と森保ジャパンを語る(4)
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カタールW杯は驚きに満ちた大会だった。
前半のグループリーグで、アジアやアフリカ諸国が見せたジャイアントキリングの数々。なかでも、ドイツとスペインを相次いで破り、グループ1位で突破した日本のパフォーマンスは白眉と言えた。
後半のノックアウトステージで、サプライズの主役となったのがモロッコだった。アフリカ勢で初のベスト4進出。しかも、ベルギー、スペイン、ポルトガルを破っての快挙は、アフリカ世界とアラブ世界を熱狂の渦に巻き込んだ。
躍進の立役者である日本代表の森保一と、モロッコ代表のワリド・レグラギ。ふたりの監督をトルシエはどう評価するのか。また、ベスト16の壁を越えられなかった日本と、最高峰に迫る高みにまで到達したモロッコとは何が違ったのか。フィリップ・トルシエが語った。
「森保には心から驚いた」
森保への評価が以前から低くはなかったトルシエにも、日本のグループ1位通過は大きな驚きだった。監督としての森保を客観的に見た時、レグラギやフランス代表のディディエ・デシャン、アルゼンチン代表のリオネル・スカローニとのある共通点があるという。
「彼らは同じやり方で働いている。監督はチームの機能(フォンクション)に対して、とても敏感だ。チームがうまくいかないと感じた時、監督は戦略を修正する。森保もハーフタイムに戦略を修正することを躊躇わなかった。
戦術的な変更をチームに加える勇気を持ち、彼がそれを実行したのは、この4年間でグループをよく把握していたからだ。五輪代表監督を兼任したことも役に立った」
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