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W杯アジア最終予選の勢力図。日本とライバル国、現状の力関係は? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 ハリー・キューウェル、マーク・ヴィドゥカの2人は、2000-01シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)の準決勝を、リーズ・ユナイテッドの看板FWとして戦っていた。その他も、欧州の上位クラブで活躍している選手で固められていた。時のオーストラリア代表監督はフース・ヒディンク。ジーコジャパンに勝ち目がないことは、監督を比べた瞬間、想像できたが、選手のクオリティにも明白なる差があった。

 しかしいま、オーストラリアに驚くような選手は見当たらない。少なくとも、キューウェル、ヴィドゥカ級はいない。

 ブラジルとイングランド出身の帰化選手4人を含む中国は、いつも以上に日本の脅威になりそうだが、気質的にどうなのか。疑問が残る。中国人選手は、精神的にアップダウンが激しい。90分を同じ調子でプレーすることができないところに、弱みを感じる。日本はそのある種のドタバタ劇に、巻き込まれないことだ。

 そのドタバタ感は、A組の韓国にも若干、通底している気がする。中国ほどではないが、気合いが先行してしまうクセがある。力はありながら墓穴を掘るシーンが目立つのだ。一方、2002年日韓共催W杯でベスト4入りした時は、その気合いがチャレンジャー気質へと導かれていた。追いかける立場に回ったとき、無類の強さを発揮した。

 今回の強みは、ソン・フンミン(トッテナム・ホットスパーズ)という現アジアナンバーワン選手を擁している点だ。かつてのパク・チソンがそうであるように、こうした看板選手が1人いるだけでチームは立派に見える。日本に欠けている魅力だ。
 
 イランには、今季もCLに出場することが濃厚なチャンピオンズリーガーがいる。サルダル・アズムン(ゼニト)とメフディ・タレミ(ポルト)の両大型FWだ。前者はすでにCL通算16試合出場。4ゴールを挙げている。後者も昨季6試合に出場。2ゴールを挙げている。それぞれのクラブに欠かせない戦力として活躍しているのだ。南野拓実(リバプール)が出られるかどうかという立場にいる日本にない魅力である。

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