W杯アジア最終予選の勢力図。日本とライバル国、現状の力関係は? (2ページ目)
たとえばベトナム。2007年のアジアカップでは、日本が4-1で勝利を収めている。舞台はベトナムの国立競技場で、スタンドはほぼ満杯だった。完全アウェーの中で行なわれた一戦にもかかわらず、3点差がついた。両軍の力は当時、別の場所で戦えば、もう少し点差がついてもおかしくないほど離れていた。
それが2019年のアジアカップでは1-0。日本の決勝ゴールはPKで、シュート数ではベトナムに上回られていた。日本代表に入れたくなるような好選手もちらほら目についた。時代の変化を感じさせる一戦だった。
今回も日本はベトナムと同組で対戦する。ベトナムはこの3年間に限っても、FIFAランクを102位から92位へと10位上昇させている。アジア内でも17位から13位へ浮上している。だが、それでもB組内での扱いは、最弱国だ。上位と下位との差が狭まっていることがわかる事例だ。日本も右肩上がりにあるが、ベトナムはそれ以上の勢いで、成長を遂げている。
B組でベトナム以上に警戒すべきは、サウジアラビアだろう。この国のサッカーは、かつて守備的だった。守って、後ろを固めて、カウンターというサッカーを定番にしていた。
だが、2019年のアジアカップでは、日本に対してシュート数で大きく上回った(5対15)。ボール支配率に至っては、23%対77%という、驚くべき関係を強いられていた。キャプテンのサレム・アル・ドーサリーや、攻撃の中心選手、ファハド・アル・ムワラドなどは、バリバリのA級選手だった。1-0で勝利を収め、「守って勝つオプションがひとつ増えた」とは、森保一監督のコメントだが、それは苦しい弁明以外の何ものでもなかった。
さらに2020年のU-23アジア選手権では、サウジアラビアに終了間際に決勝ゴールを奪われ、日本はまさかの敗戦を喫している。A代表でないとはいえ、悪い終わり方をした状態で今回の戦いを迎えることになる。森保監督に苦手意識が残っていないか、心配になる。
一方、オーストラリアとは、逆に差を広げつつある印象だ。2006年ドイツW杯本大会のグループリーグ初戦で対戦しているが、この時はオーストラリアのほうが明らかに上だった。日本は1点を先取したにもかかわらず、後半3点を奪われ逆転負けする姿に、地力の違いが見て取れた。
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