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ウナギ・サヤカは『極悪女王』ブームでバトンを渡さなかったレジェンドたちに絶望  長与千種とは「今リングでやっていることは私のほうがすごい」

ウナギ・サヤカ 東京ドームへの道 vol.1

■後編

(前編:WWE帰りの里村明衣子の引退会見に「マジかよ!」 即ワンマッチを決断し、リング上で愛を感じた>>)

 2月16日、後楽園ホールでワンマッチ興行を開催したウナギ・サヤカ。対戦相手は、4月29日に引退することを表明している"女子プロレス界の横綱"里村明衣子だった。里村は試合後のマイクで「(引退後も)ウナギの夢を一緒に見たい」と発言。ウナギも感動的なマイクを返したが、その裏にはある"絶望"が隠されていた――。

4月26日に両国国技館で自主興行を行なうウナギ・サヤカ photo by Yasui Shinsuke4月26日に両国国技館で自主興行を行なうウナギ・サヤカ photo by Yasui Shinsukeこの記事に関連する写真を見る

【『極悪女王』ブームの裏で感じていた絶望】

――里村選手との試合後は、ウナギさんのマイクも素晴らしかったです。昔のプロレスラーのすごさを讃えたうえで、「今こうやってリングの上で生きてプロレスをしているのは、今の現役レスラーなんですよ」っていう。

 ウナギ:Netflixで『極悪女王』が大ヒットした時、私の感覚なんですけど......、あれに出てくるようなレジェンドの人たちが、今の現役レスラーにバトンを渡してくれるもんだと勝手に思ったんですよ。でも、あの時にちゃんと得をしたのは、作品に出てきたレスラーだけなんです。

――バトンを渡してくれなかった?

ウナギ:うん、誰も渡してくれなくて。プロレスラーってそういうもんだと思うけど、「あ、このバトンすらも渡してくれないんだ」って思って、私は絶望というか......見損なったというか。これは絶対、私たちが超えなきゃいけないなというのは、あの時、確信に変わりましたね。だって、現役レスラーは誰もブームに乗っかれなかったじゃないですか。

――どうすればよかったんだろう......。

ウナギ:わかんないです。わかんないですけど......、絶対、渡そうとしてなかった。

――結局、"80年代女子プロレスブーム"で終わってしまった感はありますね。

ウナギ:昔がすごかったのは事実だけど、今には、今しかできない超え方が絶対にあると思うんですよ。熱狂を生むって正義だと思うけど、「こいつらを倒さないと、あの時代は作れないんだな」ってすごく感じました。超えないことには、始まらない。

――そう考えると、ウナギさんがいろいろなレジェンドの選手と試合をしてきたのも、すごく意味があることですよね。

ウナギ:いつかはみんな、やめていくじゃないですか。その前に、その人が背負ってきたものとかを感じたいと思っていて。すべてリングの上に出ると思っているから。確かにレジェンドは強いしすごいけど、それは過去の話。今一番すごいのはウチらでないといけないし、そこで圧倒的に勝たないと、本当の意味で勝てないと思ってて。だから......勝ちたいですね。

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著者プロフィール

  • 尾崎ムギ子

    尾崎ムギ子 (おざき・むぎこ)

    1982年4月11日、東京都生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業後、リクルートメディアコミュニケーションズに入社。求人広告制作に携わり、2008年にフリーライターとなる。プロレスの記事を中心に執筆し、著書に『最強レスラー数珠つなぎ』『女の答えはリングにある』(共にイースト・プレス刊)がある。

【写真】 ウナギ・サヤカ フォトギャラリー

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