ACL日本勢の初優勝は約40年前 超絶アウェーのサウジアラビアでハットトリックしたレジェンドがいる
連載第47回
サッカー観戦7500試合超! 後藤健生の「来た、観た、蹴った」
現場観戦7500試合を達成したベテランサッカージャーナリストの後藤健生氏が、豊富な取材経験からサッカーの歴史、文化、エピソードを綴ります。
今回は、現在サウジアラビアで決勝大会が開催されているAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)について。日本勢の初優勝は約40年前の古河電工(現ジェフユナイテッド千葉)。超絶アウェーのなか頂点に立った快挙でした。
1986年、古河電工に復帰した当時の奥寺康彦 photo by AFLOこの記事に関連する写真を見る
【サウジアラビア勢強し】
ACLEの決勝大会が、サウジアラビアのジッダで開催されている。
準々決勝が終わった段階で、開催国サウジアラビアの3クラブが圧倒的な強さを発揮して勝ち残ったなかで、川崎フロンターレがカタールのアル・サッドを破って東地区代表として唯一勝ち上がった。
アル・サッド戦は、相手に個人能力の高い選手がいて苦しい試合になったが、うまくスペースを使って攻撃し、川崎らしいパス回しを見せることもできた。アル・サッドは攻撃力は高かったが、守備の緻密さに欠けていたので、川崎としてはJリーグでの戦いに比べて余裕を持ってパスが回せた印象だった。
一方、横浜F・マリノスは完敗だった。クリスティアーノ・ロナウドやサディオ・マネ、マルセロ・ブロゾビッチといったワールドクラスの選手を揃えたアル・ナスル(サウジアラビア)に対して組織的守備でなんとか耐えていたものの、トーマス・デンの致命的なクリアミスから失点すると一気に4点を奪われ、なんとか渡辺皓太が1点を返したものの、その渡辺が2枚目のイエローで退場となって万事休した。
完敗ではあったが、アル・ナスルの守備強度もそれほど高くなかった。準決勝では、川崎にそのあたりを衝いてほしいものだ。
1 / 4
著者プロフィール
後藤健生 (ごとう・たけお)
1952年、東京都生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了(国際政治)。1964年の東京五輪以来、サッカー観戦を続け、1974年西ドイツW杯以来ワールドカップはすべて現地観戦。カタール大会では29試合を観戦した。2025年、生涯観戦試合数は7500試合を超えた。主な著書に『日本サッカー史――日本代表の90年』(2007年、双葉社)、『国立競技場の100年――明治神宮外苑から見る日本の近代スポーツ』(2013年、ミネルヴァ書房)、『森保ジャパン 世界で勝つための条件―日本代表監督論』(2019年、NHK出版新書)など。