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日本がニュージーランドに苦戦した原因。展開力に大きな問題を抱えていた (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

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 苦戦しそうなムードを、筆者はキックオフの1、2分後に直感したと先述したが、それはスタメンを見た瞬間から抱いた不安だった。ニュージーランドがよかったというより、日本がダメだったと言うべきだろう。ニュージーランドの長所を、日本が引き出してしまったとの見立てもできる。

 吉田に加え、前戦フランス戦からスタメンに復帰した冨安健洋も本来の力が発揮できていないように見えた。フル代表でもスタメン候補の2人。日本ではビルドアップに長けたセンターバック(CB)として通っているが、この日は単なる"守り屋"に終わっていた。ラインコントロールもいまひとつだった。試合中盤のあるときから、ピッチの中盤には広大なスペースが広がることになった。試合のレベルが低いことが鮮明になった。

 そのしわ寄せが一番に及んだ先は、守備的MFの2人(遠藤、田中)。1トップ下の久保がMF的ではない動きをするので、この2人にかかる負担はもともと大きかった。守備的MFでありながら、同時にゲームメーカー役もこなす必要があった。

 それが今日的な守備的MF像だと言われればそれまでだが、この連戦だ。現実的には負担増となって現れている。ゲームがコントロールできていたかと言えばノーである。CB2人の援護もないため、なにより展開力という点に大きな問題を抱えていた。

 ニュージーランドは第1戦の南アフリカ同様、5バックで後方を固める守備的サッカーを展開してきた。後半の途中から中盤ダイヤモンド型の4バックに切りかえてきたが、こちらも4バックにあっては守備的な中盤ダイヤモンド型4-4-2だった。にもかかわらず、ボール支配率は53%対47%にとどまった。安定した支配ができなかったことも苦戦を招いた原因だ。

 トップにボールが収まりにくいサッカーであること。さらに、サイドを有効に活用できていないことも輪をかける。守備的な相手をどう攻略するかについては、南アフリカ戦後の原稿にも記したとおり、外攻めになる。サイドから丹念に、薄紙を剥ぐように崩していくことがセオリーとされる。

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