日本がニュージーランドに苦戦した原因。展開力に大きな問題を抱えていた (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by JMPA

 日本に好勝負を挑んだチームに、こんなことを言うのは失礼ながら、ニュージーランドは格下だ。日本はそんな相手になぜ大苦戦したのか。

 選手がどうしたら高いモチベーションを維持したままこの試合に臨めるか。これが勝負を分けるポイントだと考え、スタメンに目を凝らした。

 モチベーションは、これまで不動のスタメンとしてプレーしてきた選手(吉田、遠藤航、久保建英、堂安律、田中碧など)ほど低いように見えた。冒頭で記した「普通にやれば勝てる」という吉田のコメントは、世間がそう認識していると言わんばかりの口調だったが、それを皮膚感覚で熟知しているのは他ならぬ当事者たちだろう。ニュージーランドと対戦しても、モチベーションを高く維持できそうな選手は、吉田たちではなく、もっと出場時間の少ない選手になる。

 相手が格下でも何でもいいから、とにかくスタメンを飾り、活躍したいと、出場したくてうずうずしている選手たちだ。

 そうした選手をスタメンにどれほど組み込めるか。吉田、遠藤、久保、堂安、田中のうち何人をスタメンから外せるか。

 いわゆるサブがスタメンに多く並ぶことが、戦力ダウンに繋がると捉えれば、この選択には勇気が必要になる。だが、前戦のフランス戦では、交代カードをフルに使い、吉田以外の4人(遠藤、久保、堂安、田中)をベンチに下げながらも、よい終わり方ができた。筆者はそこにニュージーランド戦へ向けた希望の光を見た気がした。

 フランス戦で、終了の笛を聞いた選手をニュージーランド戦の頭からそのまま使い、1人でも多くの主力を休ませる。あるいは試合途中から投入する。準々決勝でそれができれば、準決勝のスペイン戦に向け視界良好となる。チームにエネルギーが漲(みなぎ)った状態で臨ませることができる。

 ニュージーランド戦にモチベーションの高い選手を送り込むことは、森保一監督が狙う金メダル獲得に向けて、一挙両得の作戦となる可能性を秘めていたのだ。

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