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なでしこはコミュニケーションが濃い!
ベテランがピッチ内外でフル稼働 (4ページ目)

  • 早草紀子●取材・文・写真 text&photo by Hayakusa Noriko

 同じように、チーム発足当初から"伝達人"として若手との関わりを重要視してきたのは宇津木だ。海外経験豊富なつなぎ役として、日本国内の感覚のまましかねない若手にアドバイスを送ってきた。

「本来はピッチ上で伝えるべきことも自分の力が及ばず、不甲斐ないんですけど、ピッチではサメちゃん(鮫島)に引っ張ってもらって、私はそれ以外のところでパイプ役になれるようにって思っています」(宇津木)

 宇津木は、若手が積極的に意見を伝える姿勢に目を細める。「4年に一度のワールドカップです。その大会を全員がフラットに捉えられている。すごく柔軟性がある」といつもはちょっと辛口な宇津木も納得の成長ぶりだ。

 新戦力をチームに融合させるのは並大抵のことではない。鮫島、有吉、宇津木らは自身のプレーの向上とともに、この作業を招集される度に継続していく。その努力を怠ればチームの成長は止まってしまう。新戦力が力を存分に発揮することでしか、この労力は報われない。ワールドカップ本大会で、彼女たちが経験を伝えてきた選手が何人選ばれるかはわからない。ただ、一度築き上げた信頼関係があれば、世界の舞台で勝ち上がる可能性を高めることは難しくはないはずだ。

 主力の体調不良続出というアクシデントに見舞われ、新戦力だらけで臨んだこのSheBelieves Cupは、終わってみれば、この時期に必要な自信と不安要素がいい塩梅で散りばめられていた大会となった。

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