なでしこはコミュニケーションが濃い!
ベテランがピッチ内外でフル稼働 (2ページ目)
しかし、最終戦だけは様子が異なった。インフルエンザによる熊谷、市瀬ら主力守備陣の不在も響いた。ブラジル戦に引き続きCBには南萌華(浦和レッズL)、大賀理紗子(ノジマステラ神奈川相模原)の2人が入ったが、ボランチにも杉田・松原コンビを再び起用。つまり中央ラインを新戦力が担ったのだ。加えて、イングランドが4-4-2ではなく4-1-4-1システムを用いてきたことも混乱を招いた。
3失点はすべて前半に喫したものだが、切り返しやサイド展開を簡単にやられすぎた。中央でルーズボールを拾えず、簡単にパスで背後を取られ、最後のシュートには寄せ切れず、セーブの出足が遅れる。すべての対応が1テンポ遅かった。
たまらず選手たちを集めたのは鮫島だった。これまで両サイド、ボランチなどと試合中に修正し合うことは珍しい光景ではないが、一様に不安げな表情で鮫島の言葉に耳を傾ける。
そのとき鮫島はこんな話をしたと言う。
「身体の大きい選手が中盤も含めて揃っていたから、競るという点でそれほど心配はしていなかったんですけど、最初の失点で危ないと感じました。前からプレスに行こうという意識が強かったので、そこは前の選手に競ってもらい、後ろはしっかりと最後のところを締めることに重きを置こうと」
最終ラインが競りに行ってかわされればそこで万事休すだ。しかも相手は格上のイングランド。これまでもサイドのスペースを突かれて痛い目にあってきた。その記憶が鮫島の脳裏に浮かんだ。
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