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田口泰士が語るブラジル戦。「ネイマールにやられた理由」 (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Sueishi Naoyoshi

<やれることをやるだけ>

 彼はそう腹を据えていた。

 しかし、世界に冠たるブラジルは甘くなかった。とにかくボールの取りどころがない。相手のペースで試合は進む。そして前半18分、目の前で好きなようにボールを持ち運ばれそうになるのを我慢できず、寄せた瞬間にパスをはたかれてしまう。自分がいたスペースを使われ、ネイマールに先制点を決められた。

「たしかに自分がボールを取りに行ったことでやられたんですよ。でも、あれを行かないと、前のスペースを使われていたはずで。インサイドハーフを動かして寄せてもらえば良かったですけど、そういうコンビネーションはチームで一緒にやっていないと無理。そこは難しいですよね」

 田口はブラジルという隙のない相手を前にして、考え込んでしまった。例えばネイマールはコントロールが完璧で隙がなく、自分たちのミスで持って行かれたら、打つ手がない。

<やっぱり世界は個の力が高いな>

 彼はピッチの上で世界標準を体感していた。

「ある程度はできたような気もするし、まるでできなかったような気もします。例えば攻撃では何度か効果的なくさびは入れられたと思うんですけどね。でも結局、(0-4で)負けているわけだから、なんとも言えませんね。もし次にブラジルとやったら?……自分からは動かないですね。(敵ボールでも)取りにいかない、もうそれしかないと思います」

 敵を知り、己を知ることも成長の一つだろう。

 アンカーというポジションへの挑戦。それは、彼にとってもう一つの飛躍のキッカケになるかもしれない――。

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